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第8章 三つ巴 12話~強襲悪魔の巣窟5~破壊された巨砲木島健太|私に侵食する黒い悪魔楠木咲奈

第8章 三つ巴 12話~強襲悪魔の巣窟5~破壊された巨砲木島健太|私に侵食する黒い悪魔楠木咲奈

稲垣加奈子が別室で5人の外人ボクサー崩れを打ちのめし、真理が茂部天牙の治療をし始めた頃・・・。

茂部のやつが玄関で派手に音を立てていたので、襲撃を受けていたことは、すでに分かっていた。茂部には悪いが助太刀にはいかず、待ち伏せを決め込み、曲者が部屋にドアを開けて入ってきた瞬間を狙い、曲者の頭を目掛けて木刀を振り下ろした。

曲者はひとたまりもなく、頭を叩き割られ、地べたに這いつくばるはずだったのだが、頭を叩き割る感触ではなく、マンションの床を木刀で強打してしまった痛みが手首を襲う。

手首の痛みで木刀を手放した瞬間、木刀は曲者の白い手に奪われ、部屋の隅の方に投げ捨てられてしまった。

「危ないわね」

耳に女の声が聞こえた瞬間、木刀を振り下ろし屈んでいた姿勢の顎に衝撃があり、身体をのけ反らされると、続けて胸板に衝撃を受ける。

つぎの瞬間、背中から壁に激突し、壁掛けの鏡の割れる音が、すぐ頭の後ろですると、喉に黒い、硬く冷たい感触のなにかが押し付けられた。

「間違いなさそうですわね。写真どおり・・あなたが木島さんですわね?・・・・そう・・・あなたたちが捕らえた二人の女性もここにいますわよね?・・・・・・二人に出だしはしてないでしょうね・・・?」

曲者の女は、手に写真を持ち、俺の顔と見比べながら聞いてくる。硬く冷たい感触の正体は、この女の靴だ。

女が手に持っているのはおそらく俺の顔写真か何かだろう。女は、手に持った写真と、俺の顔をチラチラと見比べている。

「ぐぅうう!・・ぐ・・ぐるじい・・!」

メキメキと曲者の右脚が俺の喉に食い込んでいる音がする。俺の身体は立ったまま壁に押し付けられ、目の前にいる長い黒髪の曲者によって、脚で壁に押し付けられていた。脚に加わる力は強烈で、言葉にならない声しか出てこない。このままでは質問に答えることすらできないのだが、曲者の女が力を弱める気配はない。

「・・・・・・・そう・・ですか・・。・・・遅かったですか・・」

更に力を加えられ、たまらず両手で女の足首を、力の限り掴み引き離そうとするが、喉に食い込んだ脚は全く動かせず、女の足首を掴んでいるだけだ。
靴も服も、金属のような感触で掴んでいる手のほうが擦れて痛い。

しかも、蹴られた衝撃で、壁に掛けてあった鏡に、頭を突っ込んでしまい、ガラスの破片が頭をも傷つける。質問には全く答えていないのに、女は勝手に話を進めていく。

「・・どうして・・・・どうしてそんなことができますの?まともに交渉のテーブルを用意できないからと言って・・・やって良いことではありませんわ!」

女の半開きの不思議な色の目には怒りが満ち、罵声には怒気が籠っていた。罵声と同時に喉に食い込んだ脚が一瞬だけ離れ、その脚が空気を切裂き呻る。強烈な威力で顔面を蹴られるが、直ぐに喉元に脚の側刀部を、食い込まされ壁に押し付けられる。

再びガツン!と頭を壁に打ち付けられ、そのままゴリゴリと喉を潰してくる。蹴られたときに口の中を切ったようで、口中に血の味が広がる。自分の喉がつぶれそうな不気味な音に背筋が凍る。

女の脚を両手で掴んだまま目を開けると、女は前傾姿勢になり、顔を俺の顔のすぐ近くまで寄せてきていた。そして、小声で丁寧に囁く。

「このまま・・・・踏み砕いてあげましょうか・・・?あなたが雫にしたことを考えれば、あなたも納得できますわよね?・・・できないと思って?・・・残念・・出来ますわ。案外と造作もなくですわよ?」

女の目が不気味に輝き、その目に殺意が宿っている。・・・こ、殺されるかもしれない・・。それに、雫という女に何をしたのかなんて、一言も話してねえぞ・・・そう思ったとき、女の表情が変わり、女は急に自分の耳に手を当てた。

・・・通信機か?ほんの少しの間、沈黙が流れると、

「了解」

女はそれだけ言うと、通信を切ったようだ。間近で目を合わせたままだったが、不気味に光る女の目は、先ほどより殺意に満ちていないように感じた。

「木島健太さん・・。あなたのことは聞いてます。いわゆる裏ビデオの作成・・・ですか?・・・私の部下にまで手を出して・・・・!こういうこと、あなたたちの業界だとカエシ(報復)って言うのですよね?それが必要じゃなくて?」

女が再度、やや興奮しかけるが、目を閉じ、大きくため息をついた。

「しかし・・・残念ですが、命は奪えません」

女は僅かに脱力したようで、喉に食い込んだ脚の力が僅かだが弱まったように感じる。無念そうに、そう言う女の発言を聞き、一気に安堵する。喉に食い込む脚の力も先ほどより、かなり弱い。

やはり、殺すことまではできないのか。そりゃそうだ、いろいろ際どいこともやってきたが、俺は別に凶悪犯じゃあねえ。あの雫と咲奈が部下ってことは、こいつは宮コーの人間だ。この女も、その二人の上司ってだけで、単なる民間人だ。俺を裁けるわけがねえ。

そう確信すると、蹴られた怒りと恨みで、いつもの調子の悪態が口から流れ出た。

「へっ・・、ざまあみろ。何がカエシ(報復)だ!俺にこんなことをして、後でどうなるか楽しみにしてろよ?・・・えっと・・雫ちゃんだっけか?いい身体で感度もよかったぜ?へへへっ、あまりにも感じまくるから、たっぷり可愛がって何度も種付けしてやったんだぜ。孕んでたら、言ってやってくれや。責任はとらねえってな!・・はははははははっ・・。お前の面も覚えたからよ、お前は雫ちゃんにしたように優しくはしてやらねえからな。女に生まれたことを後悔するぐらい、惨めな目にあわせてやるからよぉ・・はーっはははは」

首に脚をめり込まされながらも女を見ると、女は俯き、肩がかすかに震えている。怒りや悔しさ、そして恐怖と後悔で戦慄いているのだろう。俯いているせいで、前髪が顔に掛かり表情は伺えないが、厚めのそそる唇が僅かに開き、わなわなと震えている。

「へへへへっ、楽しみにしてろよ。お前も犯しまくってやるからなぁ。俺が、たっぷりと犯した後は、犬にでも輪姦させてやらあ!・・・ほら!もうこの足を退けたほうがいいんじゃねえのか?足を退けて土下座して謝ったら俺の気持ちも少しはおさまるかもなぁ?!」

この場で殺されないなら、こっちのものだ。警察に捕まったとしても兄貴に頼んで、すぐに出してもらえる。後は、張慈円と兄貴の手下を使って、こいつらを襲わせて拉致しちまえばいい。目の前の高慢クソ生意気な女をどうやって料理するのかを考えただけで、ぞくぞくする。

すると、女は俯いたまま、左耳を抑えブツブツとしゃべりだした。

「大勢来た?・・・強い?能力者ね?・・わかったすぐ行くわ」

「またお仲間とお話か?へへへ、仲間も女なら一緒に面倒みてやるよ」

小声でブツブツ言っている女にそう言うと、女はゆっくりと顔を上げた。

「あなたの頭の中はそんなのばっかりね・・汚らわしい・・。もう喋らなくていいわ」

顔を上げた女の目は妖しく光っていた。目と目が合い、女の目から何かが俺の中に入ってきた気がする。その何かは、目を通じ頭の中まで侵入してきた。

すると、女は俺の首に食い込こませていた脚を退け、2歩後ろに下がり、腕を組んだ。

な・・なんだ?なにをした?・・う、動けねえ!

口にだして喋ろうにも全く声を出すこともできない。

足蹴にされてた状態から解放されたというのに、指先すら動かせない。

「なかなかの恐怖みたいですわね?すごくオーラが乱れてますわよ?わざと脳の感覚だけは残してあげてますからね。・・・さあ、木偶人形さん・・こっちにいらっしゃい」

女は右手の甲を見せ、人差指と中指をクイクイと倒し手招きする。

な、何言って・・?うおおおお・・か、勝手に足が・・なんだこりゃ・てめええ、ふざけんな!

足が勝手に動き部屋の中央まで進むと、足を肩幅より少し開き、両手は頭の上で組んだ状態で止まる。

「・・私を輪姦するとか・・・言ってましたわね。そんなこと、生まれて初めて言われましたが・・・極めて不快な気分になりますね。・・・まあ、その分後ろめたさが残らなくていいので、良しとしましょうか」

途中から訳の分からないことを言いながら、女はコツコツと足音を響かせ、俺の背後に回る。完全に姿が見えなくなり、女の気配が真後ろで止まる。

「私なりのカエシ(報復)を致しますわ」

女が、言い終わるが早いか、腰に鉄のハンマーでも打ち込まれたのかと思うほどの衝撃があり、バカッと乾いた音が俺の身体の中心から全身に響いた。

ぎゃあああああああああああ!!

激痛などという生易しいものではない、腰への衝撃を受け、その勢いで床に向かってものすごい勢いで激突する。相変わらず声は出せず、身体も動かせず、のたうち回ることもできない。倒れ込んだが動けず、ただただ脂汗が噴出してくる。

「悲鳴で五月蠅くなりそうでしたから、木偶にしておいてよかったですわ」

女は背後から俺の腰目掛けて、脚を振り下ろしたのだ。

「仙椎目掛けて蹴りましたの。・・死なずに上手くいったようでよかったですわ。これであなた唯一の特技のSEX・・・それどころか、一生まともに歩くことも、一人でお手洗いもできませんわ。・・・今までの悪行の報いとしては、少々手緩すぎると被害者の方々には非難されそうですが、私ではこれが限界です。・・能力解除して差し上げますので、あまり五月蠅くしないでくださいね」

「ぐおおぉぉおおおお!」

急にこだました自分の大声に驚くが、全身を駆け巡る激痛でそれどころではない。身体も動かせるようになったはずだが、腰から下は全く動かせない。このクソアマに蹴られたせいだろう。

「では急ぎますので、聞きたいことはまた後で伺いますわ」

床でのたうち回る俺に、そう言い残すと女の駆ける足音が遠ざかって行った。

――――――――――――――――――――――――――――――――

佐恵子がインターホンを押す30分前・・・。

売り手市場と呼ばれる昨今の求職事情だが、宮川コーポレーションは例に漏れ、毎年求人倍率は高かった。特に女性求職者からは人気の職場であり、私が就職活動した年も、倍率が500倍を超える人気となっていた。その競争を潜り抜け、私こと楠木咲奈は見事に内定を勝ち取ったのだ。

けっして、学生時代にガリ勉をしたわけではない。それなりに遊びもしながら、人気の優良企業とよばれる、宮コーに入社したのだ。

知性や美貌という才能をフル活用し、学生時代を謳歌していた私は、もちろん、すでに処女などではなく、それなりに男性経験もあり、男性を喜ばせる技術には、実はかなり自信があった。大抵の男性は私の味を覚えると離れられなくなると言うことも知っていた。

私は、男性が女から離れられなくするには料理とSEXであると、ある程度、真剣に思っている。なので、それなりに料理も勉強し工夫して覚えた為、かなり自信があるが、SEXは更に自信がある。

事実、いままで私が振ったりして別れた男性は、みんなヨリを戻したいと言ってきたし、戻ってきた男性は、みんな私の身体のほうが良かった。手放せないと言っていた。

そういう経験から、男性に乱暴なSEXをされそうになっても、自分のペースに持っていきリードできる・・。

そのはずだったのだが、この男性のモノは規格外すぎた。

「ゆ、許して・・・・!!そんなのダメ・・!壊れちゃう!・・・い・・いやぁああ!!許してええ!」

私は今、全裸で後ろ手に手錠されたまま、黒人の大男に跨らされ、男の股間の上に乗せられている。

両ひざで全体重を支えているのだが、大男の身体を跨いでいるため、力が入らず大男の身体が邪魔で、脚を閉じることも逃げることもできない。そのうえ、この大男が私の膝を、両手で掴みゆっくりとだが、左右に徐々に開いている。

「ハハハハハハッ、ギブアップニハ、ハヤスギルゼ?マダ、アテテイルダケダゾ?」

前戯もなく、いきなり騎乗位という屈辱的なSEXの進め方をされているが、黒人の大男の巨大すぎるペニスを視覚で確認してしまっては・・。

女の本能が身を守る為なのか、素直に性的興奮してしまった為なのかはわからないが、今までにないぐらい、私の膣は潤っている。

大男のペニスの先端で膣の入口を突かれると、愛液が溢れ出してしまった膣で、大男の規格外の男性器を私の膣奥から溢れ出る愛液による接吻でベトベトにしてしまっている。

しかも愛液を内腿にまではしたなく垂らせてしまい、私の股間から溢れ出るよだれが大男を更に喜ばせてしまっている。

「あっ!・・っあああ!」

「ハハハハ、ホラホラ、ガンバッテフンバラナイト、ナマエモシラナイ、オトコニ、オカサレテシマウゾ?」

そう言いながら、私の両膝を左右に開き、私の中心を僅かに貫く。

大男の男性器の大きさは、私の前腕ほどあり、おそらく30cmぐらいの長さがある。太さは5cmはあるだろうか・・。

「い、、いや!あああ!むり!むりむり!!絶対入らない!」

学生時代に付き合った男性たちには見せたこともない狼狽ぶりで必死に抵抗する。

「フハハハ、オレノマグナムヲクラッタラ、ホカノオトコニハ、ガバガバオンナッテイワレルゼ?!」

い、いや!!どんな男も虜にしてきた私の身体が、こんな男に壊される!

「アキラメロ。オレハコノマグナムデ、ウチヌカレテ、マンコヲヒロゲラレナガラモ、カンジテイキクルウ、オンナノゼツボウスルカオヲ、ココカラナガメナガラオカスノガ、オレノスタイルダ」

下手な日本語であまり何を言っているのかわからないが、私にとって良いことを言ってないのは伝わってきた。

つぎの瞬間、膝を掴んでいる大男の両手に力が入り、一気に左右に膝を開かされる。

ズズ・・・ズリュリュ・・・グチュリ!!!!

「ひいぃいいいいいいい!ぎぎぃ!きっきつっ・・・きついです!!大きすぎるぅぅぅ!

「ハハハハハハ、ソウソノカオダ!ハハハハハ!」

大男のペニスで、膣を貫かれ、私は文字通り突き刺され、宙に浮いていた。

「っ!・・っあ!!・・ひぎぃ・・!っこ・こわれちゃう!!」

「ウゴクゾ!」

悲鳴を上げ、口を魚のようにパクパクさせてしまっていた私は、ろくな反応もできず、大男が何を言っているのかわからなった。

大男が膝を掴んでいた手を離し、その大きな手を私の腰に回しガッチリと掴むと同時に、大男は腰を上下に打ち上げ始めた。

ズブ!ズブ!ズブ!ズブ!ズブ!ズブ!ズブ!ズブ!ズブ!バチンッ!!!

「ひぃい!!はぁっ!!あああ!い、、!いやああ!はぅ!あああああぁ!!い・いや!いやああ!壊れる!!壊れるう!あぁ!いや!いく!いや!いや!いくうう!あああああああ!!

極度の興奮からか、今まで犯されたこともない部分を刺激されたせいなのか、僅か数十回の大男の打ち上げで容易に絶頂に押し上げられてしまった。

突かれるたびに私の膣はそんなにも深かったのだと、未開の地を大男に開発されていくのが嫌でもわかる。

「マダマダダ・・・!」

大男が、私の男の大きな手からすればか細すぎるであろう腰を掴んだ手は緩められることなく、下腹部の打ち上げも全く衰えることはない。
むしろ、味合わせるように、私の膣を、その大きな黒い化け物に馴染ませるように、丁寧且つ激しく蹂躙する。

「あああっ!!あうぅ!逝った!!やめてえ!!あんっ!!あんっ!!ああ!逝ったの!いや!きゃぁあ!・・とめて!!あああ!また!・・・くる!いく!!!ああああああ!!」

私の前腕ほどあるペニスで貫かれ、騎乗位という重力を恨めしく思う体位で突き上げられ、逃げることもできずに2回目の快感の大波を注ぎ込まれる。

大きすぎて太すぎて無理だと思った、男の黒い化け物を私の普通の男性しか知らない膣は何とか受け止め、少しでも負担を減らそうと潤滑油を分泌する。

男の膣奥への打ち付けの動きに合わせて、私の股間からは卑猥で厭らしい粘着音を発している。

粘着音に釣られて、ふと自分の股間を見ると、私の膣奥に刺さる黒い化け物は、まだまだ長さの余力を残しているのが確認できてしまった。

まだ、長さの半分ほどしか使われていないのだ。

信じられない・・!

今まで届いたことないところまで犯されているというのに・・。

「ハハハ!イイゾ!ソノカオダ!・・・ヨダレマデタラシテ、オタカクトマッテタカオヨリ、イマノカオノホウガニアッテルゼ!・・・ホラ!マダマダキュウケイジャナイゼ?!」

頭を左右に振り乱し、自慢の亜麻色の髪の毛が踊る。糸を引きながらも、口から飛び散った涎が、大男や私の身体を汚す。

「フハハ、オレノマグナムヲ、ネモトマデノミコメルヨウニナルマデガ、サイショノチョウキョウダ!」

ひょっとこのように唇を突き出し、絶頂の快感を後ろ手錠の不自由な身体で受け止めさせられる。
今まで身体を重ねたことのある男性には、明かりを消したりしてもらっていたので、決して見せたことのない、本気で逝くときにやってしまうであろうみっともない表情だ。

「ハハハハハ!オマエ、ソノカオ、ケッサクダ!モットミセロ!・・スコシナジンデキタガ、オレノマグナムヲ、ゼンブウケイレルノハ、マダマダダゼ!」

もう逝くことが当たり前になってきたので何度目なのかも覚えていない絶頂が脳を襲う。
おそらくは、ひょっとこのような表情でガクガクと身体を痙攣させ、豊満な乳房を上下に小刻みに揺さぶってしまい、絶頂したことを、知られたくもないのに無理やりに私を蹂躙し絶頂に導くこの大男に告げてしまっている。

「イイゾ!クルッテシマエ!・・・オマエハ、イクトキノカオガ、ギャップガ、アリスギテ、オモシロイ!カオノモザイクナシデ、ウッテモラウトイイ」

ひぃひぃと私のひょっとこのような表情をしているであろう口から大声が出てしまう。声を我慢しようにもとても無理だ。ひょっとこのような表情の口を噤む余裕もない。大男が何か言っても、まともに反応する余裕は快感という大波に飲み込まれている今の私には全くなかった。

「ふぃぃぃ!ひぃいい!ふぅぅ!!!イクイクイクぅう!!

「オォオ!ダイブナジンデキタゾ!ナカナカイイマンコダ!イクトシメツケテキテ・・・!ズイブント、スケベナオンナダナ」

大男に掴まれている私の華奢な腰が更に引き付けられ、ついに大男の30cmほどはあろうかと思われる黒い化け物がすべて私の膣にねじ込まれる。

私の膣の敷地に対する容積率を遥かに超えていると思われる大男の男性器・・・・。

その私の膣の基準を遥かに超えた侵入者が暴れまわり腰と腰がぶつかり、膣の奥でゴリリと侵入者に子宮が変形させられるような感覚がする。

「あひぃ!ひぐぅ!!っっっっ!!!っっっっっっ!!!」

ひょっとこのように口を尖らせたままの顔を、首を背中側にのけ反り、豊満な乳房を上下に痙攣させ深い絶頂に達する。

「ハハハ、モウオマエノマンコハ、オレノサイズジャナイト、カンジナイヨウニナッテシマッタゾ」

黒人の大男は嗤いながらそう言うと、私の身体を腕の力だけで持ち上げ、膣から男性器を抜くことなく、正常位の体位になる。

いや、これは正常位じゃない・・。屈折位だわ・・・。正常位を変形させた男性器をより奥まで入る体位だ。

荒く浅い呼吸をさせ、大男のされるがままになりながらも、なぜか少し冷静に考えることができた。それは、男性を喜ばせるために齧った知識のせいで、大男が何をしようとしているかがわかってしまったからだ。

こ、壊される。

何度も絶頂に達し、自由の利かない身体を捩ろうとするが、当然のごとく、大男が許すわけがない。大男は更に前かがみになり、私の両膝を抱えるように両手を回し、私の両肩を背後からガッチリと掴んできた。大男の顔が、私の顔のすぐ前にあり不覚にも唇を奪われてしまった。

「んん!ぅうう。や!やだ!んんんんっ!!」

口までも犯されてしまった屈辱に、涎と汗まみれの顔に涙も混じる。大男のキスからようやく解放されるが、体位は変わらない。

「クチビルヲ、ソンナニツキダシテイルカラ、ノゾミドオリニ、キスシテヤッタゾ・・・サア、ソロソロ、フィニッシュダ」

ベッドに大男によって上から押さえつけられ、足と腕と肩を抱きかかえられ、膣の奥まで犯される体位で逃げることもできない私に、大男はニヤリとして言い放つ。

大男が腰を少し動かすと、巨大な黒い怪物が子宮口に当たりゴリッと音がした。大男は照準を合わせるかのように、腰の位置を微調整すると、私の最奥を打ち始めた。

バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!バチン!

「ふぃぃぃいぃ!!!!!!い、いやあああああああああ!いくぅうぅぅぅぅうぅっ!!!・・・・・・あぅっ!いやあああ!もう!あぃぃいぅぃ!いくいくぅ!!!

大男は、黒くて長くて硬に私の身体に今までに味わったことない快楽を刻み込んだその化け物を信じられない速度でストロークさせ、自分の腰を、私の腰に打ち付け、私の膣内の最奥を彼の股間に生息する第3の足のような怪物で潰しに掛かる。

「オォォォ!!イクゾ!!ウォォォォォォォォォ!」

「いくううううううぅぅ!!うう!いくううう!!」

SEXでパートナーとの同時絶頂・・本来は愛し合った恋人同士でするような行為を、名前も知らない黒人の大男と共演してしまう。

黒人の大男は腕で、私は脚を大男の腰に回し、二人でガッチリと組み合い、絶頂の余韻を全身で受け止める。

大男と私は同時に絶頂した。大男が最後にずん!と私の最奥に打ち付け、お互いに荒い息をして動かなくなった。

今まで付き合ってきた男性の中にも、床上手は何人もいたが、一度のSEXで、ここまでたくさんの絶頂を味あわされたことはない。

大男は私を狂わせた怪物を抜かず、私の膣で果てた。今まで、誰にも許していない行為を、名前も知らない男に許してしまった。

大男が少し動くと、にちゃりと卑猥な粘着音が股間から発せられ、同時に男の放った劣情が強烈な臭いで鼻をつく・・。

膣の中が大男の体液で満たされているのを感じる。

大男は、顔を上げ私の顔を覗き込みニヤリと嗤うと、口づけをしてきた。

「んん!!んはっ!いや・・・んんっ!!」

臭いでぼーっとなっていたが、いきなり口づけをされたせいで我に返る。大男を振りほどこうこうとするが、全く力では敵わずとても無理だ。

顔を少し離すと、ニヤニヤと笑いながら大男は腰をグリグリと動かしてくる。

子宮口目掛けて、果てて毒塗れになった男性器が激しく子宮口にキスをしてくる。

それと同時に再び上の口もふさがれる。

「んんんんんっ!!」

わ、私・・・。こんな犯され方して・・。ひどすぎる・・。なんでこんな目に・・。
大男に両方の口をディープキスで犯されながらも、振り払えず逃げることもできず、されるがままになる。

しばらく、その行為が続き、望まぬ妊娠の恐怖と絶望に打ちひしがれていると、大男が急に慌てた様子で、身体から離れていった。

「・・ソトガサワガシイナ・・・」

大男はそういうと、立ち上がり、脱ぎ捨ててあった服を慌てて着ると、全裸のままの私を置いて、部屋の外に出ていってしまった。

【第8章 三つ巴 12話~強襲悪魔の巣窟5~破壊された巨砲木島健太|私に侵食する黒い悪魔楠木咲奈終わり】第13話へ続く


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第8章 三つ巴 13話~強襲悪魔の巣窟6~稲垣加奈子vsアレン

第8章 三つ巴 13話~強襲悪魔の巣窟6~稲垣加奈子vsアレン


扉を開けようとする直前に、先ほど聞こえた騒々しさが止み、女の声が聞こえてくる。

最初は、木島さんが犯した雫という女の声かと思ったのだが、念のため扉を少しだけ開けて様子をみる。すると、全身黒のライダースーツのような服を着た、茶髪の女が歩きながら誰かと会話しているのが見えた。

東洋人の顔はあまり見分けがつかないが、見たことのない女だ。女の恰好や会話、部屋に転がっている手下どもの様子から、こいつは侵入者だと確信する。

ソレニシテモ・・オンナヒトリニ、ヤラレタノカ・・?ナサケナイ!

転がっている5人の手下の不甲斐なさに、一気に頭に血が上り、扉を蹴り開け、倒れている手下を器用に躱しつつ、一気に女との間合いを詰める。

「あ!後でまたこっちから連絡するね!」

女は、俺様が扉を蹴り開ける音でこちらに気付いて振り向き、会話を中断する。しかし、すでに間近まで迫った俺に向かって身構えようと向き直るも、もう遅い。

完璧のタイミングで繰り出した渾身の左フックだったのだが、女は異常な反射速度で上半身をのけ反らせて躱す。

バ、バカナ!イマノヲ、ヨケタダト!

必殺の一撃を躱され、一瞬狼狽えるが、ほぼ間髪入れずに、打ち下ろし気味の右ストレートを放つ。

すると、女が足元でタン!という乾いた音を響かせると同時に、後方宙返りをして後ろに避け、カッ!と言う靴音を鳴らして着地し身構えている。

俺様の右ストレートは、ぶん!という物騒な音を奏で、誰もいない空間を空しく切裂いただけだった。

空振りで捻った身体に痛みが走るのは、もう長らくトレーニングから遠ざかっているからか?

綺麗な後方宙返りを成功させた女は、部屋の中央で、大昔のカンフーアクションスターのようなステップを踏んでいる。そして、鼻を親指で摩り、ふふん!と言わんばかりの仕草と表情で俺に向かって聞いてくる。

「わんつー・・わんつーねぇ・・そのあとに蹴りが来ないし、その構え・・・またボクシング?」

女は、少しお道化た様子でこちらを探りながら、相変わらず、なんちゃってカンフーステップを踏んでいる。

「チッ!イマノヲ、ヨケルトハ、ナカナカノ、ハンシャシンケイダ・・・」

現役時代の時ほど、トレーニングをしていないとはいえ、この俺様のパンチを避けるとは、侮ることはできない。それに今の動き、一瞬のやり取りだったが、目の前でふざけたステップを踏んでいる女が只者ではないのは、間違いない。

床に転がっている5人の手下を、目の端にとらえつつ、この女の実力が本物であることを確信する。

「ほわぁぁぁ・・・・おっ?・・雰囲気変わったわね。・・ところで、あなたがこいつらのボス?」

捕らえていた雫とかいう女を庇いつつ、ステップを踏んでいる女を睨み、ファイティングポーズで構えにじり寄る。

あと半歩で、射程に入るという距離まで近づくと、さすがにステップを止め、女も構える。

「オレト、オナジ、ボクシングスタイルダトハナ・・・ナメルナァ!」

半歩踏み出し、射程距離に女を捉え、ジャブの連打を放つが、女は上半身のスウェーイングのみで躱す。茶髪女と、身長2mを超える俺様とではリーチがまるで違う。

最初俺様のパンチを躱した女の動きからして、この女の戦闘スタイルがボクシングではないことは明白だ。それにもかかわらず、ファイティングポーズをとってきた、この女には身の程を知らせてやる必要がある。

女の射程距離外から、ジャブにストレート、フック、アッパーを高速で連打するも、女は倒れている男たちを器用に避けながら、スウェーイングのみで躱し続ける。

「せ、先輩!・・・頑張ってください!」

雫が防戦一方の侵入者の女を、先輩と呼んだということは、こいつらの仲間で間違いない。

「ハハハ、モット、スピードアップスルゾ!」

「お!・おぉ・・おっと!」

パンチの連打を避け辛くなってきたのであろう。女が慌てたような声を出す。

マダマダダゼ!・・イマダ!クラエ!

先ほどから何度か見せた、ジャブ連打からのストレートのパターンをフェイントにして、左のボディを女の右わき腹に打ち込む。パターン化させていた、攻撃の急な変化に、女の反応が若干遅れ、隙が生まれた。

ドシィ!!

「うぐっ!!」

グローブを嵌めていない素手の拳が、女の脇腹に突き刺さる。派手な音が部屋中に響き、女は身体をくの字にして数歩下がる。

カンゼンニハイッタ!アバラフンサイダ!コノオンナモ、ショウショウ、ヤルホウダガ・・・、コレデオワリダ。

これから、どうやって甚振ってやろうかと思い、顔が緩み始めるが、身体をくの字にして俯いていた女が、顔を上げた。

「もぉう!!いったーい・・・!ぜんぜん痛いじゃない!拳銃で撃たれても大丈夫って言ってたのにぃ!!いたいいたい!・・・はっ・・・ご、ごほん・・・おもったよりやるじゃない!?」

ひとしきり、何かに悪態をついていたが、顔じゅうに汗を滴らせ、少し赤面した女は、片目を閉じ、痛そうに脇腹を撫でながらも言い返してきた。

「ナ、ナンダト!・・・バカナ!マトモニハイッタハズダ!」

シンジラレン!・・・ドウイウコトダ!?

完全に脇腹を捉えた一撃のはず。華奢な女の身体で吹っ飛び倒れなかったのは、大したものだと思ったが、言い返してこれるような程度のダメージではないはずだ。

ドウイウ、テジナダ?!

「ちょっと試してみたかったんだけど、やっぱ強化しないで、防御や攻撃なしだと、全部避けるのは難しいわね・・・。あなた・・なかなか速いし強いわよ」

「せ・・せんぱい・・?」

こっちの動揺を無視して、女は、イタタ・・と脇腹を摩り、後ろの雫に顔だけ振り返り、大丈夫、と言うとこちらに向きなおった。

そして、女は着ている服のファスナーを胸元まで下げ、豊満な谷間を少しだけ露出させると、こっちを向き直り女はしゃべり出す。

「ふぅ・・・楽になった・・・。ちょっとこれ高性能すぎるのよねぇ・・そもそもフェアじゃないよー・・・。あのね・・・この服ね、うちが特注で開発させた金属繊維製の特殊スーツで、ウン十億円もかけて開発させたらしいんだけど、耐寒耐熱耐電耐衝撃で耐刃なの。しかも、防弾性能もあって、9mm弾程度だったら貫通しないんですって。・・でも耐衝撃というのは、若干・・・あれよね・・JAROに言わないといけないわね・・・」

「ナ、ナニ?」

女は片手で胸元をパタパタと仰ぎ、もう片手を広げ、肩をすくめる様な仕草をみせながら、服の説明を始めているが・・タイカンタイネツ・・・?よく意味が解らない。

「わかんないか」

女はそう言うと、再び肩をすくめ、脇腹を少し摩ると、構えなおした。

「真理からも、連絡が入ったし・・。そろそろこっちからも行くわよ」

女の構えは、先ほどのボクシングスタイルではない。左手を正面に突き出し、右手は引き絞り、足は開き気味でワイドに構えている。日本の武術か何かだろうか・・?

ボクシングの真似事の時とは明らかに雰囲気が違う。薄い色素の髪の毛が若干逆立ち、女から闘気が立ち上っているのが、感じられる。

女が発するあまりの気迫に、数歩後ずさりしてしまい。慌ててファイティングボーズを構えなおす。

コ、コノオレサマガ・・ノマレテイルダト・・?

「いくわよ」

女は股を割ったスタンスで構えていたというのに、凄まじい速さで、自分の射程距離まで一気に間合いを詰めてきた。

現役時代、数限りない対戦での経験から、頭で反応するよりも早く身体が動き、女を左のジャブで迎撃していた。しかし、女はジャブの連打を難なく躱し、いなしつつ、徒手による攻撃を、かろうじて目で追える速度で連打してきた。

何とかガードが間に合い、急所は防御するが、頬、顎、胸、腹、腕と、女の手が届く至る所に、攻撃が加えられる。

お互いにほとんど場所を移動せず、近距離での打ち合いだ。

女の徒手攻撃は正確に急所を突き、威力も鋭いが、俺様も攻撃の手を緩めない。緩めるわけにはいかない。

女の攻撃力は、女とは思えない凄まじい威力で、ガードが間に合わず、女の拳を喰らった脇腹が悲鳴を上げる。

上腕と前腕を屈折させ、ガードをしている両腕の痛みも酷く、感覚がなくなりつつある。

相手の攻撃はガードしきれずにいるが、こちらの攻撃は、この至近距離にもかかわらず、ほとんどが躱され、とらえたと思った攻撃も、女の手でいなされ、ダメージを与えることができない。

ナ、ナントイウコトダ!・・・ウチアイデマケルダト!?コノオンナノスピードトパワーハ、イッタイドウイウコトダ・・・?!オレサマハ、クルーザーキュウノモトプロボクサーダゾ!・・アタレ!アタリサエスレバ・・・!

「大振りになってきたわよ?」

どすん!ばきぃ!

目の前の女が呟くと同時に、腹と顔面に拳を叩き込まれる。

「グォォォォ!ナゼダ!・・・オカシイダロウ!オレサマハ、モトプロノボクサーダゾ!」

鼻血を手の甲で拭いながら女に向かって吠える。

「そうなんだ?なかなか強いわよ?・・・ないすふぁいと」

悪意のなさそうな女の態度に、さらに怒りがこみ上げるが、何度か受けたボディへの蓄積ダメージとガードで酷使した両腕がそろそろ限界だ。

「稲垣先輩!いけます!やっちゃってください!!」

俺が来る前に、すでに拘束を解かれたのだろう。雫は両手を胸の前で、握り侵入者の女に向けてエールを送っている。

殴ったままのポーズの女が、「もち!」と振り返らずに言うと、再び俺様に向かって構えなおす。

マ、マズイ・・。クヤシイガ、コノママデハ・・・。

「一気にいくわよ?覚悟はいい?!」


先のほどと同じように間合いを詰め、女の連打が始まる。いや、先ほどと違い、蹴り技まで使ってくる。女の徒手だけでも、防ぎ切れなかったというのに、これではひとたまりもない。

先ほどの徒手のみによるラッシュとは似て非なる、足技も加わっての猛襲に、被弾箇所は増え広がる。

「グゥ・・!ガッ!・・クッ!・・クソォォォォォ!・・・ウグッ!」

ほぼ防戦一方となるが、女は容赦なく打ち込んでくる。

「タフねぇ」

女は、俺様が何とか返した反撃を容易く避け、何倍もの攻撃を叩き込んでくる。ガードしようにも、ガードした腕は限界で、ガードした腕が悲鳴を上げている。

マズイ!コノママデハ・・・・ダメダ!!・・オレサマガマケルトイウノカ・・オンナニマケルトイウノカ・・・!!

「ウォォォォォ!!」

満身創痍の身体にムチをうち、最後の気力を振り絞って気炎を上げると、女に背を向け、一気に玄関に通じる扉に向かってなりふり構わず駆け出す。

背中のほうから女が、あ!!と声を上げたが、構わず、そのままドアに体当たりをしてぶち破ると、出口目指して一目散に駆け出す。

コンナトコロデ、ヤラレテタマルカ!!

マイクが失脚して折角めぐってきたチャンスを、こんな一瞬でなくすわけにはいかなかった。この場は、何としても逃げ切り、仕切り直してあの女をぶっ殺す。

玄関に通じる廊下を抜け、玄関ホールに到着する。

そこには、先ほど戦っていた女と同じような服を着た女が、青龍刀を抜いた劉と戦っていた。

劉と対峙し、少し距離をとった位置で劉に向かって、構えていた女が、こちらをチラリと顔だけ動かして確認するのが見えたが、容赦なくそのまま後ろから殴り掛かる。

女を殴り飛ばして、そのまま玄関の扉を開け、車で逃げるつもりだ。

「ドケエエエエエ!!」

「よ、止せ!アレン!・・・不用意に突っ込むな!」

劉の言葉には耳を貸さず、女の後頭部目掛け拳を繰り出す!

つぎの瞬間、女は髪を靡かせ振り向くと同時に、俺様のパンチを躱し・・・・俺様の身体は床に敲きつけられていた。

「グゥ!」

「そいつ強えんだよ!だから言ってやったってのに!!」

劉は、床に倒され無防備になった俺様を庇うように、牽制するため、青龍刀で女に切りかかる。
女は、青龍刀の攻撃をガジッと音をさせながら、手の甲と腕で払うと、青龍刀の範囲外まで飛び下がる。

「うふふ・・そんなナマクラいくら振り回しても無駄ね」

おそらくこの女が着ている服も、さっきの女と同様のものであろう。刃物も通さない代物ということだ。

「くそ・・。立てるか?アレン」

「シット!・・・アタリマエダ」

劉に手を貸され、立ち上がろうとしていると、木島さんの部屋のほうから、人影がこちらに向かって、会話をしながら走ってくるのが見えた。

「こっちの部屋はもう誰もいませんわ。加奈子、そっちは?・・・ええ!咲奈もいたのね・・・よかったわ!・・・・・え?・・ええ、、その男なら、こっちに来てるわね・・・・いま真理に投げられたみたい・・・こっちで対処しておきますわ」

足音を響かせ、通信しつつもこちらへの注意を怠らず、半開き目の長髪女が、木島さんの部屋のほうから、小走りで現れ俺たちの5mほど手前で止まる。

俺様たちを見据えると、通信を切り、劉と俺様を値踏みするように眺めている。

玄関側には黒髪の俺を投げ飛ばした女、右側の木島さんの部屋に通じる廊下には、半開き目の長髪女、さっき俺と戦っていた女は奥にいるが、まだ追ってきてはいない。

おそらく、俺様が可愛がってやっていた咲奈とかいう女を解放しようとしているのだろう。

だが、じきにここに合流するのは間違いない。そうなれば、3人に囲まれることになる。おそらく恰好や雰囲気からしてこの二人もそれなりに強いのだろう。

もし、この二人も先ほど戦っていた女と同程度の強さならどうしようもない。

「チッ・・・。こんなことになるなんてな・・・。とんだ貧乏くじだぜ・・アレン!木島はどうなってる?」

「ノー!シラナイ!」

「はぁ?おまえあいつのボディガードだろうが!」

「木島さんなら向こうの部屋で寝てますわ。お二方とも、おとなしく降参なさい?・・あら?・・・真理?もう一人は?」

「え・?・・あれ?・・そんな・・いない?!・・・動けるはずが・・・は!・・・・佐恵子!奥に逃げて!」

玄関前で、俺様達を外には出すまいと構えていた黒髪の女は、仲間に向かってそう叫ぶと、自身もその場から急に飛び退り、床に伏せる。

何事かと思い呆気にとられていると、その直後、外から派手な車のエンジン音とブレーキ音、そしてタイルを擦るような音を響かせて、黒いワンボックスカーがマンションの壁を擦り、玄関に激突して停車する。

「劉さん!アレンさん!乗ってください!」

「モブ!?」

「アレン!いくぞ!」

劉はそう言うと、右手に持った青龍刀を連続で唸らせる。ビュン!ビュン!と空気を切裂く音が、玄関の近くで伏せている黒髪の女目掛けてて迸る。

「く・・おのれ・・!」

黒髪の女は車が激突した衝撃で、吹き飛んできた玄関扉を押しのけ立ち上がったところで、劉の放った斬撃を、横に飛び退り、辛くも躱すが、足場が悪くなったせいで、大きく態勢を崩し、膝を着く。

「来いアレン!」

劉が再度大声で促すと、俺様達は、攻撃を避けたため、床に膝をついている黒髪の女の横を走り抜け、モブの運転している車に乗り込む。

俺たちが車に乗り込むと同時に、車は急発進しマンションの手入れされた庭を、モブの運転するワンボックスカーが激走し、公道へと飛び出す。

「ど、どうしましょうか?!」

見事なカーテクニックで俺様達の窮地を救ったモブが、運転しながら俺様と劉に聞いてきた。

「・・・モブ・・。テッキリヤラレタカ、ニゲダシタ、ソウオモッテイタゾ・・」

「ああ・・いや、とにかく助かったぜモブ・・・。途中からいなくなっちまってたんで、俺もてっきり逃げ出したものだと思ってた・・・。すまん。・・とりあえず港拠点に迎ってくれ・・。今の時間ならボスがそこにいるはずだ・・・。とんでもない失態だが、報告しないわけにはいかない・・・。それに、あんな奴らを同時に何人も相手にするのは無謀だ・・。入口で見張ってた黒髪の女も、とんでもなく強かった・・。ちっ、左腕がまだ痺れてやがる・・・。木島はあの長髪女が言ってることが本当だとしたら、長髪女にやられちまったんだろうな・・・。アレンのほうにもいたんだろ?・・・その様子だと相当手こずったみたいだしな・・・。木島が生け捕りにされたとなると、厄介なことになるぞ・・・」

前の座席で、劉があれこれと先のことを思案しているような口ぶりで話しているが、俺様はそれよりも茶髪女のことが頭から離れなかった。

身体の至る所を殴打され裂傷による出血がかなり目立つ。特に両腕は、茶髪女の攻撃を防ぎ続けた為、赤黒く変色していた。

脳裏に、凄まじい速度で、強力な攻撃を放ってくる女の姿が思い出される。

茶髪女を攻略する糸口は見えないが、ふつふつと怒りと同時に、不思議と力がみなぎってくるのを感じる。

「アア・・・。テコズッタ・・・。タシカ、イナガキ、トヨバレテイタ。ツギハ、ブッコロス」

後部座席で、シートを二つ占領したまま、どっかりと座り、そう呟くと、茶髪の女に復讐を誓った。

【第8章 三つ巴 13話~強襲悪魔の巣窟6~稲垣加奈子vsアレン終わり】第14話へ続く

第8章 三つ巴 14話 菊一探偵事務所と宮川コーポレーション

第8章 三つ巴 菊一探偵事務所と宮川コーポレーション

照明を落とした部屋の中央に置かれたキングサイズのベッドの上で、髪を乱し恍惚の表情の女が、顎を天井に向けのけ反った。

筋肉質な男の上で、快感を貪り続けている。逞しい身体に跨り、女は、今しがた絶頂を貪ったというのに、再び腰を前後に激しく動かしだす。

「はぁ!はぁ!んっ・・!はぁん!あああ・・・!ひ、宏!・・いい・また!ああ!いいわ・・・!!」

男の名を呼びながら、女はホテルに入ってから7度目の絶頂で身体を震わせ悶える。

絶頂の快感で男の身体の上で、艶めかしく汗で光る身を反らせ、突き出した乳房の先端の突起を、男に弄られながら、顔は天井に仰ぎ、呼吸も忘れ余韻に震えている。

絶頂の波から解放され、がくりと男の胸に顔を埋めた女を、男は優しく受け止めた。

粗い呼吸をしている女の首筋にキスをし、頬と髪をなでながら濃厚な口付をする。

「美佳帆さん・・・」

宏と呼ばれた男は、心中で思っていたことを言わず、女の名前を呼ぶにとどめた。

余韻に浸り、身体を男に預けた女は呼吸が整いつつあったが、男は女の肩を優しく抱くと、美佳帆を仰向けにした。

SEXが始まってから初めて女が下になる。

7度も果て、些か放心している美佳帆の蜜壺を目掛け、宏は強張りを突き刺す。放心していた女は、すぐに反応をしめし、宏の背に腕を回そうとするが、その手を掴むと少し意地悪っぽい口調で言った。

「美佳帆さん、ここからは俺のターンやねん」

そう言うと美佳帆の両手首を、左手だけで掴むと、頭の上あたりで体重をかけベッドに押し付けた。
それと同時に、7度も果て愛液まみれの膣の奥目掛け、腰を打ち付ける。

「あああ!!奥ぅ!ううう!はぁっ!んんんっ!・・・・」

普段はSEXの時に、あまり大きな声を上げるほうではない美佳帆は、恥ずかしさからか声を抑えようと必死の様子であったが、声の音量を抑えようと我慢している様子こそが、更に宏を高ぶらせた。

宏は、嬌声を恥じらう美佳帆を抉る様に、最後は自身が満足するまで腰を打ち付ける。

「んんんっ!あぅ!・・ひ・ろし!も、もう!」

宏が満足する直前までに美佳帆は更に2度陥落し、敏感になり過ぎた身体は、打ち込みから逃げだしたくなるほどの快感が送り込まれてくる。

しかし、美佳帆は愛する男を満足させようと、宏をより深く感じれるようにと、より身体を開く。

たちまち、過敏すぎる女芯と蜜壺が悲鳴を上げるが、身体を限界まで開き受け止める。

「はぁはぁはぁ!逝くで!・・・・」

宏の迸りを、身体の中心で受け止めると同時に、美佳帆は10度目の絶頂を迎えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねえ、あのままにしておいていいかしら?」

情事終わってからしばらくお互いに抱き合っていた二人だが、宏の腕を枕にしていた、美佳帆が唐突に問いかけた。

まだ、やや上気した艶めかしい顔を、宏のほうに向ける。

「なにが?」

仕事の案件かとは思ったが、本当に心当たりが多すぎて、宏が大雑把に聞き返す。

「・・・神田川さんたちよ」

「あー・・大丈夫やろ」

宏の生返事に、少し焦れた様子で美佳帆が大きめの声で促すと、宏はああそのことかと、美佳帆の髪の毛を撫でている手を止めずに答える。

「生意気言うてるだけあって、なかなかやったと思うで・・実際、宮コーであのまま交渉決裂しとったら・・・どうなってたやろな・・」

「俺がどないかするから。って言ってくれたじゃない」

頭を撫でてくれている宏の横顔を見る。宏は仰向けで、天井に顔を向けたままそのまま続ける。

「美佳帆さんのことはどないかするで。それは絶対や。・・しかし、あの稲垣っていうじゃじゃ馬を相手にしながら、半開き目を相手にするんはかなりしんどそうに感じたんは事実や・・。あの黒服どもがされてたみたいに、思念を使って対象を操作をする能力やったら、俺が操作されてしまったらそこで詰みや・・・」

「・・でも、平気そうだったじゃない?」

「あの半開き目の思念波が、あれが本気で限界なんやったら俺なら防げる・・そやけど・・・ウチの事務所員の大半はアウトやで・・・・。しかもあいつ、すでに5人も操りながら、ほかの能力も使こうとる様子やった・・」

「それって・・・」

能力が二つ使えたとしても同時に発動させるのは非常に難しいことである。

例えるなら、右目と左目でまったく違う動きを同時にすることが難しいように、よほど訓練していないと、どちらも中途半端な発動状態になり、ほぼ役立たないぐらいの発動となってしまうからだ。

宮川佐恵子の想定される能力の一つが操作系の能力で、それだけでも凶悪であった。しかし、宏が言うにはそれ以外にも、同時に他の能力を発動させていたと言うことだ。

ただでさえ、操って同士討ちをさせたり、人質に取ったりできてしまう。

しかも、自社の部下を5人もすでに操っていた・・。あれを一人に集中させたりもできたりもするのだろうか。

探偵事務所のメンバーが操られ、彼らと戦うかもしれない。そうなってしまうことを想像してしまう。美佳帆は、表情と身を固くし、途中で想像するのを止めた。

「えげつない能力やで・・ほんま」

仰向けで天井を向いたまま、ぼそりと宏が呟き、横顔が苦々しく曇ったように見える。

「で、でも、さっき交渉は成立したし、取り合えず敵じゃないんじゃない?・・救援と様子見も兼ねて誰かに見てきてもらっておく?・・・今後のこともあるし、もしかしたらお客になるかもしれないじゃない?」

話せばわかる相手、さっきの会談では全く話が通用しない無法者という印象は受けなかった。少なくとも、別れ際にはお礼を言い合い、笑顔で別れたのを思い出す。

「せやな。あんな組織、敵にしてもしんどいし、一文にもならんしな。めんどくさい駆け引きとか堪忍やで・・俺そういうの苦手やし・・なんか、あいつ嫌いやし・・腹黒やであいつ」

宏は嘆息気味にそう言うと、不機嫌そうに眼を閉じた。

宏が遠まわしに任せると言っていると解釈した美佳帆は、バスタオルを体に巻き付け裸体を隠すと、枕元に置いてあったスマホを手に取り操作する。

ベッドから立ち上がり、宏に背を向けスマホを耳に当てる。
暫くの呼出音が美佳帆の耳元でしていたが、ほどなくして呼出音が途切れる。

「はい、またせてすんません美佳帆さん」

「あ、和尚。ちょっとお願いがあるんだけど?」
・・・
・・・
・・・
「なるほど・・。要は俺らも、宮川の連中と一緒にこの際、橋元の拠点を叩けってことですね?」

「まあ、そういう状況なら・・。でも、あくまで様子見よ?彼女たちはオルガノに行って、港に向かうって言ってたから、いまの時間なら港のほうにいるはずよ」

「それなら、ちょうどいいですわ。いま近くにいますし、手傷は負わせましたが、張はさっき逃げられてしもたところなんです。もともと、今から追うつもりでしたし・・・。荒木さんとは合流できたんですが・・神谷さんは連れ去れてしもて・・・すんません」

普段から落ち着いたトーンでしゃべる和尚こと豊島哲司だが、言葉の端々に悔しさが滲んでいた。

「モゲと二人でかかったんですが、張慈円・・相当な使い手ですわ。奴は布みたいな暗器を使って、能力は聞いてた通り電気でしたわ。おまけに功夫ですかね・・並みのもんでは、太刀打ちできんと思います。俺か所長が相手したほうがええですね・・事務所員に情報共有してください」

詳しい状況は分からないけど、和尚とモゲが二人がかりでも張慈円一人を仕留めきれなかったというのは、張慈円の強さに上方修正を加える必要があると美佳帆は考えていた。

「わかったわ・・。でも和尚のほうこそケガはない?モゲや姫は?」

「ちょっとした切り傷と・・奴の電流を喰らっちまって多少痺れてましたが、治まってきたところですわ。姫は無傷やし、モゲも似たようなもんなんで大丈夫です。」

「無理は厳禁よ・・。和尚たちが合流するかもしれないこと、宮川さんたちに連絡しておくから」

「わかりました」

了承の意を伝えスマホを切ると、モゲと姫が和尚に質問を浴びせてくる。

「なんや?俺ら以外にも張慈円を追っとるやつがおるってことか?相手がマフィアってことわかってて追ってるんか?」

「大丈夫なのそいつら?早く行かなきゃ不味いんじゃない?!てか、だから救援に行かなきゃ!かな?」

二人とも、急に降って湧いた勢力に、心配しつつも怪訝さを隠す様子もない。

「ああ、姐さんが言うには宮コーの連中らしいわ。・・・なんや、協力関係になったっぽいから、様子見てきてやってくれって話や。んで、交戦中やったら俺らも参戦ってことや」

「宮コーって?」

「宮川コーポレーションちゅう大手の会社や・・・しかし、なんでそんなカタギの連中が・・?」

姫こと寺野玲華の質問には、なぜかモゲと呼ばれている三出光春(みで みつはる)が答えた。

モゲが姫に答えたのに、和尚が頷くと、話を続ける。

「で、いまそいつらが向かってるのがココや。すぐ近くみたいやから、急ぐで?・・荒木さん、スマンけどこのまましばらく付き合ったってや。そこに神谷さんがいる可能性も高いしな」

「わかりました。沙織ちゃんを救い出してあげてください!」

同僚を心配する荒木友恵に、和尚こと豊島哲司は、一見不愛想だと勘違いされ気味な表情で力強くうなずいて見せた。

「お願いします!」

そう言うと、荒木友恵は3人に向かって頭を下げた。

「よっしゃ!ほな行こか」

「張慈円のやろう、今度こそ逃がさへんからな」

「急がなきゃ!被害者が増えちゃうかもしれない!和尚!」

「もちろんや。まあ、その宮コーのことがなかったとしても、張のカスはやったるつもりやったし、いくで!」

そう言うと、4人は薄暗くなり始め生暖かい海風が吹き抜ける倉庫街を、目的地目指して走り出した。


湾岸部で同じような倉庫が整然と並び立つ、区画の一角にキズだらけの黒いワンボックスカーが停まっている。

「信号はあの車から出ているので間違いありませんね」

真理がGPS端末に目をやりながら確認する。

「3人も逃してしまったままにしておくわけにはいきませんわ。それに一人は能力者でしたようですし・・・。あと、真理?菊沢事務所の方々がこちらに向かってるのですね?」

雫や咲奈は無事に取り返せたので、これ以上追わなくてもいいのではと、真理は諫めたのだが、オルガノに突入する前に、あらかじめGPSを付けておいた車を追って湾岸区の倉庫まで、追ってきたのであった。

もともと、雫と咲奈という二人の人質を奪還したというのに、これ以上の追撃は、些か強行すぎると真理は思っていた。

しかし、敵に劉という手練れの能力者がいる時点で、佐恵子が追撃を止めることはないことも分かっていた。

その為、菊沢さんからの意外な人員派遣の申し出に、この際、便乗することにしたのである。

なぜなら、佐恵子は優秀な能力者を見ると、いつもの癖がでるのである。平たく言うと勧誘、ヘッドハントである。

その結果、お互いの利害が一致した場合は、佐恵子は優秀な人材か、有能な戦力という手駒を得ることができ、スカウトされた側は、仕事内容によっては忙しいかもしれないが、高収入が約束された。

しかし、スカウトに値しない場合もある。ただ、能力不足の場合はそのまま捨て置かれるが、佐恵子に敵対した場合は、あらゆる意味で容赦はなかった。

真理は、佐恵子の今までの行動を思い出し、劉と言う男に少しだけ同情するが、表情は変えず続ける。

「はい、20分ほどで武闘派の能力者3人がこちらに到着するそうです。此方の位置もお伝えしましたが、よろしかったですよね?」

武闘派という単語に、運転席に座っている加奈子の耳が嬉しそうにピクンと動くが、誰も突っ込むことはない。

「・・・3人も?・・菊沢夫妻ともう一人誰かが来るのかしら・・・?」

「いえ、菊沢さん達以外の3人が向かっているとのことです」

「真理。菊沢事務所には何人の能力者が居るの?」

佐恵子は、最初の真理の問いかけには答えず、脚を組み右手で口元を抑えながら、続けて質問を重ねる。

真理は経験から、場所を教えたことが事後承認されたと解釈し、佐恵子の質問に答える。

「全員が能力者かどうかは分かりませんが、たしか9名です」

「9人!・・・・全員が能力者なら、それは由々しきことですわね。しかも菊沢さんご夫婦のほかにも3人・・・。最低でも5人はいるということです・・・。こんな近くに・・・こんなにいるなんて」

佐恵子は後部座席で脚を組み、腕も組んだ状態で神妙な顔をし、しばらく考え込むと呟いた。

「真理、加奈子。この件が片付いたら、菊沢事務所を食べるわよ・・」

「承知しました・・・」

「そう言うと思ってました」

佐恵子の予想通りの発言に、神妙な顔で了承の意を伝える真理と、運転席でやっぱりと言わんばかりの口調で加奈子が答える。

「・・・楽しみですわ。・・・それと二人とも、そのことは本社に報告無用ですわよ?」

劉という能力者、そして菊沢事務所と言う能力者集団という獲物を前に、佐恵子はクスクスと楽しそうに笑いながら、二人に本社への報告は無用との念を押す。

「わかりました。でも、本社からお目付け役で着任している、紅露部長や松前常務にはバレてしまうのでは?」

真理が佐恵子の教育係という名目で、関西支社に着任している二人の役員の名前を挙げる

「ああ・・まだ言ってませんでしたわね。二人とも快く了承していただきましたわ。うふふ」

「・・・!」

「さすが支社長!」

「うふふふ・・。最近、力が漲ってきますの・・。まだまだオーラの総量は増えそうですわ」

紅露と松前は、佐恵子の教育係とは名目で、叔父である宮川誠が、佐恵子の行き過ぎや派閥拡大を抑止する為に、関西支社に送り込んできた、能力者であった。

あの二人を操作してしまうほどの佐恵子の能力に、二人は対照的な反応ではあったが、真理と加奈子は顔を見合わせ喜びあっている。

「これで、ますます動きやすくなりますね」

「善良で強力な独裁者・・・。私はそれになりますわ。小心で狡猾な叔父の体制をいち早く終わらせるのです。本社にいる老害共も、この目で屈服させてあげますわ」

真理は、善良かどうかはさておきという思いが多少あったが、今より良くなることは確実だと思った。

「さあ、そのためにはまだまだ基盤を充実させなければいけませんわ。このような訳の分からないチンピラ風情に、手こずっている時間はありません。さっさと終わらせて、西の空と海も抑えてしまうのです。高嶺のような無法者にも備えないといけませんし、能力者の育成や獲得も急務です。真理、加奈子・・・力を貸して頂戴ね」


「「承知しました」」

佐恵子は二人の心強い返答に微笑み頷くと、表情を厳しいものに切り替え

「いくわよ」

と車のシートから腰を浮かせた。


すでに咲奈と雫は、オルガノに到着した門谷さんらに連れられ警察の聴取の前に、病院に先に連れて行かせた。宮川コーポレーションの警備員も動員しての搬送なので、よっぽどのことがない限り大丈夫だろう。

あの二人もまた、本人たちは気づいていないが能力に目覚める可能性がある。真理の管理下に置き、日超業務は最小限に抑え、幹部候補講習という名目で試験を何度も行い能力の適性を測っていたのだ。

佐恵子としては、あの二人をやすやすと失うわけにはいかなかった。菊沢宏、美佳帆に大金を払ってでも、正確な情報が欲しかったのはその為もあった。

「さっきと同じよ。裏から加奈子。正面から真理と二人で行きますわ」

佐恵子は、車を降りながら二人にそう言うと、すでに薄暗くなりつつあった港のコンクリートの地面に降り立つ。

「二人とも、劉という男は要注意で。肉体強化とオーラを斬撃に乗せて飛ばしてくるわ」

「へぇ・・そういう能力なんだ」

「見たわ・・。なかなかでしたわね。くふふ」

そう言う真理に、加奈子が感心したように声を上げ、佐恵子も同意し、舌なめずりをしそうな表情をする。

この時間の港にはまったく人影はなく、かなりの間隔で外灯が寂し気に周囲を照らすだけであった。

弧を描いている港の岸壁には、遠目に煌々とした明かりが見え、工場などはあたりが暗くなるほど、ライトアップされ、不気味ではあるが、見るものが見ればある意味アーティスティックに夜の闇に映えて見える。

「じゃ いくね」

加奈子は片手を上げ、ニコリとした表情でそう言うと、気配を完全に消し闇に同化する。
目の前にいるのに、気配が虚ろになった加奈子が、膝を屈め、身を丸くしてから音もなくジャンプすると、高く積み上げられたコンテナの上ほうで僅かに音がする。

見上げてもそこに人影はなく、雲が出ている空には闇が広がるばかりだった。

「こっちもいきましょ」

佐恵子のセリフに真理が頷くと、二人は黒いワンボックスカーが止めてある倉庫の正面まで、足音無く、滑るように闇を縫い走る。

「いますね」

真理が佐恵子にだけ聞こえる程度の大きさの声で囁く。

倉庫の大きなシャッターは閉まっているが、すぐ隣にある通用口の扉の床付近には、人の出入りがあったのが確認できる。

得意な分野ではないが、佐恵子は身体活性能力を解放させると、扉のノブを握力と手首の力でシリンダーごと強引に破壊し、扉を開け、薄く笑みを張り付けた表情で呟いた。

「・・楽しみだわ」

【第8章 三つ巴 14話 菊一探偵事務所と宮川コーポレーション終わり】15話へ続く



第8章 三つ巴 15話 強者と強者の接触 


第8章 三つ巴 強者と強者の接触 


人の背丈ほどある大きな木箱や、白い麻袋が乱雑に積み上げられ、薄暗い灯りを途中で遮断してしまう。

天井につるされた照明の灯りだけでは、この倉庫の広い空間すべてを、満足に照らし出すことは難しいようだ。

報告を聞き終わった張慈円は、もともと目尻の吊り上がった鋭い顔を、更に厳しい表情に変え、大きく息を吐き出した。

沈黙が数秒続き、張慈円以外の皆の表情も自然と硬くなる。

「お前たち、つけられてはないな?」

コツコツと足音を響かせ、先ほど逃げ帰ってきた面々の顔を、横目で観察しながら、張慈円が問う。

「は、はい!俺が運転してたんですけど、つけられてる様子はありませんでした。それに、ここに来る前に、街中を何度も迂回したり、回り道をして攪乱してきました」

直立して背筋を伸ばし、答えたのは茂部天牙(もぶ てんが)であった。張慈円とは何度か面識のある茂部ではあったが、張慈円と言葉を交わすのは初めてである。

「ちっ、マヌケめ。あちこちぶつけたキズだらけの車で、街中をほうぼう走り回ったというのか?その黒スーツの女どもだけに、気を付けていればいい、というものではないのだぞ?」

「す、すいません!」

褒めてもらえると思った浅はかなモブは、絶対強者のボスに冷水のような言葉を浴びせられ、声を裏返して謝った。

「すいません、ボス・・俺が居ながらこの様です。正直逃げるのがやっとでした。モブがいなけりゃ逃げるのも難儀したはずなんです」

「ふむ・・・まあ、仕方ない。そもそも、宮川に手を出したのだからな・・・。奴らは手を引くまいよ。木島め、面倒ごとを残してくれた」

やや草臥れた表情で劉が、モブを庇うように話に入ると、張慈円からどす黒く立ち上る気配が若干緩んだように感じた。

張慈円も、先ほど口の悪い関西弁の男二人を相手にしてきたところであった。
二人がかりではさすがに苦戦し、左腕を負傷してしまった。

その様子を部下たちには見せず、不自然にならないよう負傷した左腕を軽く触る。

僅かに眉を顰め痛みに耐えるが、骨にヒビが入ってしまったようだ。

できれば、今日はこれ以上の戦闘は避けたいところだな。と、張が思っていると、劉が口を開いた。

「・・どうします?」

意味深で曖昧な聞き方をする。

この場にはアレンもモブもいるのだ・・。大別すると張慈円も劉幸喜も、橋元一味という括りでは同じであるが、アレンやモブはもともと木島健太の子飼いの者たちだ。

今後、保身のためにどのように報告されるかわからないし、同じ組織内とはいえ信用はできない。

「橋元社長には俺から報告をしておく。お前らはしばらく待機して回復に努めろ。そっちに食い物と、少しだが薬もある」

張慈円がそういうと、モブは「はい」と返事し、アレンも木箱に座り一人ブツブツ呟いていたが、「ワカリマシタ」とそれぞれ了解し、張慈円が顎でしゃくった方向に歩き出す。

背を向けて歩き出した二人を確認すると、張慈円は劉に向かってこっちに来るよう目配せした。

「劉、あと1時間ほどで私に客がある。その者との用が済んだらここは引き払うぞ。あの二人にも準備させておけ。客がきたら、二人は遠ざけておくのだ」

張慈円は、近づいて耳をそばだてる劉にだけ聞こえるように、小声でそう伝えると、劉幸喜の返事を待たず、背を向けスマホを取りだし、耳に当てる。

劉は、ボスである張慈円にいろいろ聞きたかったが、怪しまれないようすぐに、アレンとモブのところに戻ると、モブの隣に座った。

アレンは、隅の木箱に座って、相変わらずブツブツと独り言を呟いているため、絡みにくそうだったと言うこともある。

加工品のソーセージをガツガツ食べているモブを横目に、劉は不思議に思い聞いてみた。

「おいモブ、怪我はいいのか?」

「あ、平気っす!殴られたときはすげえ痛くて、死ぬかもしれないって思ったっすけど、いまは、全然平気っす。むしろなんか調子いいんすよ!」

空気を読まず、かなり大きめの声で答えるモブに、焦った劉は顔を近づけ窘める。

「おい。もっと小声で話せよ。ボスが電話してるだろ。」

「あ、すんません!」

申し訳なさそうに大声で謝るモブに、肩をすくめ、劉は呆れたようにため息をつくと、

「まあ、命があってよかったな。・・・倒れてるときは顔色も青くて、目も開きっぱなしだし、死んだかと思ったんだが・・」

とだけ言ったところで、張慈円の声が響いた。

「きたぞ!お前ら、つけられてたってことだ!」

次の瞬間、バリン!という音が響き、音のほうを見あげると、倉庫の天窓のガラスが割れ、無数のガラス片と黒い塊が振ってくる。

「ちっ!」

「くそっ!」

「わああああ!」

「シィィッット!」

張は鋭く舌打ちをすると、飛散して降り注ぐガラス片を、手刀と、見事な歩方で回避する。

劉は青龍刀を抜き、高速で剣先を走らせ、自分に降り注ぐガラス片を弾き飛ばす。

モブとアレンは落ちていた麻袋の布で、身を隠しガラス片を防く。

ガラス片と同時に降ってきた黒い塊は、裏口の扉付近に、身を丸くして着地すると顔を上げた。

「お・ま・た・せ・・んふ」

その整った顔には余裕すら感じる笑みがあり、人をくったようにそう言った。

「イナガキ!」

アレンの呼びかけに答えるように、黒いスーツの女が立ち上がり、色素の薄い髪の毛をかき上げる。

「おぼえててくれた?今度は逃げないで、最後までしましょう!」

吠えるアレンに向かって女は言い放つ。

「けっこうな数がいますわね」

アレンにイナガキと呼ばれた女の逆方向からは、また違う女の声がした。

張慈円以下全員が、振り返ると、正面の入口から侵入してきたのであろう、長髪黒髪の女と、黒髪ボブカットの女がいた。

「ふぅん・・・。真理、たしかあの人よね?青龍刀持ってるし・・・。それにしても、ほかの人も、かなりオーラ多いですわよ?・・とくにあの方・・・これは、当たりなんじゃなくて?」

劉を指さし、続けて張慈円を指さして、真理に聞いている佐恵子目掛け、モブが突進する。

「うおおおおおおお!」

「バ、バカ野郎!止せって!おまえ学習能力ないのか?!」

走り出したモブの背中に劉が声を飛ばす。

モブは多くの強敵たちを沈めてきた、自身の必殺技であるワンパターン右ストレートパンチを繰り出そうと、佐恵子目掛けて振りかぶった。

つぎの瞬間、佐恵子の蹴りがモブの顎を捉えていた。

モブの視界がぐにゃりと歪み、全身が脱力する。

「あなたの腕より、私の脚のほうが長いようですわね」

顎を蹴られた衝撃で脳が揺れ、意識が遠のく。モブはのけ反った格好で動きが止まり、ずるりと膝から落ちて前のめりに倒れた。

「い、言わんこっちゃねえ・・・」

劉があきれたように呟く。

劉の後ろで、先ほど天窓を破って降りてきた加奈子が、「にひひっ、あと3人」悪戯っぽい声で笑うのが聞こえた。

「その方はともかく・・・、オーラが多いと言うことは、手強い相手だ、と言うこともお忘れなく・・」

真理が、倒れ込んだモブをチラリと一瞥した後、透き通る落ち着いた声で、補足するように佐恵子をたしなめる。

「わかってますわ。でも、真理の目にも見えないでしょ?脅威なんて。ふふふ、オーラを纏っていても、皆さんすでに、ずいぶんとお疲れのご様子・・。満身創痍・・ケガ人だらけですわね」

モブを仕留めた脚をぶぅんと振り回し、床に脚を下ろすと両手を腰にやり橋元一味の面々を見渡す。

「調子に乗るなよ小娘」

目尻を吊り上げ、凄んだ張慈円が続けてけしかける。

「劉!アレン!このガキ共を叩きのめせ!」

「ウオオオオオォォォ!」

「やれやれ!正念場だな!さっきと同じと思わないことだぜ!」

雄たけびを上げたアレンが加奈子に向かい、青龍刀を構えた劉が真理へと向き直る。

「くふふふ・・。それで・・?私のお相手はあなたがしてくださるというの?・・お強そうですわね・・・しかし・・それだけに残念でしょう?」

どがっ!

佐恵子は張慈円にそう言いながら、足元で起き上がろうとしていたモブを、部屋の隅まで蹴り飛ばす。モブは、床をズザザザッと滑り転げながら倉庫の壁に激突する。

「こんなところにいられると邪魔ですのでね・・。そちらで休んでいてください」

「く、くそ・・」

モブは倉庫の壁に背を預け、蹲ったままの態勢でそう呻くのがやっとだった。

「その左腕で、どこまで私と戦えるでしょうか」

「能書きはいいから、さっさとかかってこい」

構えていた佐恵子は、そう言われるや否や、強化した身体能力で瞬時に間合いを詰め、肉薄する。

「お望みどおりに!」

張慈円の挑発に応えると当時に、高速で、首目掛けて貫手を繰り出す。しかし、躱され、続けてもう半歩踏み込み、水月に肘打で迫るが、張慈円の右膝で防がれる。

佐恵子は、張慈円の超速反応に感嘆しつつも、そのまま腕を伸ばし裏拳で牽制し、左足を軸にしながら、身を低くし右脚で後回足払いを放つ。

張慈円は、裏拳を右手で払い、足払いの回し蹴りを後方宙返りで躱し着地する。

「・・・・やりますわね」

「くくく・・大口をたたきたくなる腕であることは認めてやろう」

そう言うと、ゆらりと張慈円の気配がゆがみ、構えをとる。

「今度は、俺から行くぞ」

張慈円の姿が3つ重なるように揺れ、佐恵子に迫る。

張慈円は闇歩法を用いながら、徒手空拳の連打を繰り出す。虚実混ざっての連撃に、佐恵子は後ずさりしながら、かろうじて躱し防ぐが、ついに左わき腹に拳が入る。

「うくっ!」

「くくく、続けていくぞ」

佐恵子も、防ぎながら反撃を打ち返すが、虚実まじえた残像に惑わされ、攻撃が空ぶってしまう。

「ぐ!・・はぁ!」

佐恵子は、先ほど受けた同じ個所を拳で抉られ、たまらず距離をとる為の回し蹴りを放つ。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・。厭らしい戦い方しますわね・・・!」

「そうかね?まだまだ、十分正攻法で戦っているんだがね?」

「そうですか・・思った以上にお強いですわね・・仕方ありません・・・少し力を使いますわよ・・」

そう言うと、ぼんやりと、佐恵子の目が光り出す。

ゆらゆらと残像を残しながら構える張慈円に向かって、佐恵子は、正面に構えをとると、目に力を集中する。

【恐慌】

対象に、近ければ近いほど効果が高いのだが、この距離でも十分である。

張慈円目掛け、著しく心身を衰弱させる呪詛感情を飛ばす。

相手の抵抗力にもよるが、対象の精神力をごっそりと霧散させ、恐怖、混乱、不安状態に陥れる宮川佐恵子の能力である。

複雑に複数の感情を同時操作する技で、燃費も激しい為、使用頻度は低めではあった。
しかし、先ほどの戦闘で、張慈円の戦闘力の高さがよくわかり、普段使わない大技を使わざるを得なくなったのだ。

温存していて、最後にジリ貧で使用不可になるのを嫌ったためである。それに、こういう対象弱体技能は最初に使うほど、効果が高い。

「ぐ・・ぐおおぉお・・・き、きさまぁ・・何をした!?」

「くふふふ・・気分最低でしょう?それにしても、恐慌を喰らって、そんな悪態がつけるなんて、素晴らしい精神力ですわ。くふふふ・・」

張慈円を嗤う佐恵子も、肩で息をしている。

「はぁ、はぁ・・。さあ、もう勝ち目はございませんわよ?あと数回なら、今の技を撃てますわ・・・。もっと欲しいですか?」

「ま、まだだ!」

張慈円は両手を翻すと、仕込んだ暗器を閃かす。

「くっ!」

佐恵子は横に飛び退り、初撃は寸でのところで回避した。

躱した箇所のコンクリートの表面にヒビが入るほどの威力。しかし、躱したものも含め、複数うねる白い閃きは、再びうねりながら佐恵子を襲う。

それら、すべてを躱しきることはできず、バチン!と大きな音が響き、右脚と左腕に白く閃く攻撃を受ける。

「あぐっ!」

佐恵子は腕と脚を打たれ、大きくバランスを崩し跪く、白い閃きはそのまま打った個所を捉え巻き付いたままだ。

「はぁ、はぁ、、ははは!捉えたぞ!終わりだ!くらえぃ!!」

バリバリバリバリバリバリバリバリ!!

「くぅ!!」

「はぁはぁはぁ・・・・。な・・なに?!」

暗器を通し、必殺の放電をフルパワーで生意気女に流し込んだのだが、佐恵子は白い首をのけ反らせ、僅かに呻いただけで、光るその目にはまだまだ闘志があるのが見て取れた。

「くふ・・電流ですか?」

「馬鹿な!効かんはずがあるまい!」

張慈円がそう言い、再び放電を流し込む。

バリバリバリバリバリバリバリ!!

「くっ!」

佐恵子が僅かに呻くが、今度はのけ反りすらしない。

「な、なんだと!何故だ!」

「残念でしたわね・・危ない所でしたわ・・。こんなギリギリの戦いになるとは思いませんでした。やはり最初から目を使わなければいけないという教訓ですわね・・・。それに、あなた恐慌状態でもこの威力・・素晴らしいですが・・電流とは運がなかったですわね」

「そ、その服か・・!」

「ええ、そうですわ。それに、あなたオーラ残量も、もう少ないようですし、もう無理されないほうが良さそうですわよ・・?くふふふ・・」

佐恵子は、脚と手に巻き付いた、布状の暗器を煩わしそうに取り払うと、張慈円に向かって歩を進めだす。

「むぅ!」

不屈の張慈円が再び、暗器を引き絞り構える。

その時、劉と交戦中の真理が、劉の刀を持った手首をつかんだまま、振り返り、大声で叫んだ。

「佐恵子―!!後ろ!!避けてぇー!!!」

「え?!」

佐恵子は慌てて振り返ると、そこにはオーラがあり得ない大きさで膨らむ茂部天牙の姿が間近まで迫っていた。

 【第8章 三つ巴 15話 強者と強者の接触終わり】第16話へ続く

第8章 三つ巴 16話 久々の夫婦の時間の終わり 菊沢美佳帆

【第8章 三つ巴 16話 久々の夫婦の時間の終わり 菊沢美佳帆】



宮川コーポレーションの宮川佐恵子達が、橋元一味の張慈円達と相対していた頃、橋元から受けた力【媚薬】のせいで性欲が抑えられなくなっていた事を、主人の宏とホテルにて満たしすっきりした美佳帆は、今、宏と2人でホテルから出て、現在は菊一探偵事務所と大塚達府警の刑事との合同捜査の事務所代わりになっている大塚の別宅でもある西区のマンションへ向かっていた。

美佳帆たちが情事を果たしたホテルは浪速区で、この町では通称『ミナミ』と呼ばれている界隈であったが、ミナミから西区までは徒歩でも10分ほどあれば行くことが可能で、大塚のマンションはその西区の南堀江にあった。

美佳帆は、宮川コーポレーションに出向いていたため、いつもの動きやすいTシャツにホットパンツ姿ではなく、今日は上下グレーのスーツを身に着けていた。

宏にも宮川へ出向く際に、スーツを着せようとしたのだが、

『何で行くところによって着替えなアカンねん。俺は俺やこのままの服で行ったらええやん』

とまるで、お着替えを嫌がる子どもの如く駄々をこねられたので、宏はいつもの黒の綿パンに黒のカッターシャツを着ている。

2人の今の服装でしばらく歩くと、梅雨もあけるか明けないかのこの時期だとさすがに少し汗ばむ。

(ふぅ・・・せっかくすっきりした後に、シャワーも浴びて爽快な気分だったのになぁ・・・もう少し2人で居たかったから、徒歩を選択したけど、こんな事じゃタクシーに乗れば良かったかな?)

と考えながら私の左側を歩く宏を見上げてみると、いつになく難しい顔をしている。

『どうしたの?何か考え事?』

と私が聞くと、宏は

『いや・・・さっきの話なんやけどな・・・あの宮川の生意気な姉ちゃんら・・・あいつら全員相手にして、戦えたかという話なんやけど・・・まあ、あいつらは根本的に危ない奴やないし、敵でもないから良かったんやけど・・・今後な、あいつらくらいの奴らが集団で現れて、美佳帆さんや、所員に手出ししてきたことを考えたら・・・いや、それは十分あると思うねん・・・そんな時に、俺は美佳帆さんや皆を守れるかと思うとな・・・少しナーバスになってしもてたねん』

珍しく真剣な表情をしていたと思ったら・・・やはり宏にとっても、今日の宮川コーポレーションの人たちとの出会いと、駆け引きは日常には無い刺激になったみたいで、確かに私から見ても1対1なら、あの人たちの中で宏と戦えても勝てそうな人はいないと思った。

しかし、能力の相性や、特殊性、そう・・・宏が言うように、あの例えば宮川佐恵子さんが敵になったとして、社員の黒服の方々を操っていたのが彼女の力なら、それを、例えば私たちの仲間の和尚やモゲに向けられて、彼らが操られたとしたら?和尚は唯一と言って良いくらいの宏と五分に渡り合える力の持ち主。

その和尚を宏にぶつける事だって可能はある。。。

(本当に・・・宏の言う通り・・・えげつない能力ね・・・)

『あっでも・・・さっきから私も考えていたんだけど、その宏が言う宮川さんとは、今後上手くいけば共同歩調もあるんじゃない?ほら、橋元の所に、仲間が犠牲になっているわけだし・・・うちも彼女も…それに今はそんな事よりも、まずは、神谷さん・・・彼女も張慈円に連れ去られたのなら・・・スノウのように・・・今は和尚たちが追跡してくれているから今すぐどうこうもないでしょうけど・・・』

『うん・・・まあ、そうなんんやけど、俺もみんなの力を信じてないわけやないし、ただ・・・俺ももう少し強ならなアカン思って、先生の事を思い出していただけやねん。今日本に来ているみたいやしな・・・』

と宏が真剣な表情から、一転懐かしそうな遠くを見るような表情に変わり、

『先生って、宏が能力開発の訓練を受けた栗田教授の事?えっ?そうなの?日本に戻られているんだ・・』

『そうやねん。この間、東京大学から封筒が届いとったやろ?俺宛に、先生は俺に用がある時には、東大の封筒で手紙くれるからなぁ。』

『あっそういえば・・・気にして見ていなかったけど・・・あっそれで、宏もしかして先生にお会いしてさらに訓練受けるとか?そういった事考えているの?』

『うん・・・今すぐは無理やけど、そのつもりや・・・俺が更に腕を上げる事によって、みんなの力も引き出してやれるかもしれんしな。しかしな・・・俺が今1番気にしているのは、その先生からの手紙の中に、【鷹が狩りを始めた様子。汝、気をつけるべし。】って書かれてたんや』

『鷹が狩り?えっどういう・・・?』

私は宏と同じ速度で歩を進めながら、少し首を傾げ聞いてみる。

『うん、これは先生と俺だけが分かる隠語なんやけど、先生は以前な、俺が探偵事務所を開業しても、そいつからの依頼もそいつ絡みの依頼も、絶対受けたらあかん言われている奴らがいて、それが髙嶺言うんやけど、なんでも江戸時代から続く暗殺一家やそうでなぁ・・・俺も先生の話聞いてて、今どきホンマにそんな奴らおるんかいなと思ったんやけど・・・先生は左目が見えへんのやけどな、それが日本にいた時に、その髙嶺言う奴に力見込まれ誘われたんを断った時に、力づくでなんとかしようとするそいつにやられたらしいわ。しかしその髙嶺言うのも先生の絶をくらい、能力が使えんようになったらしいんやけどな。』

宏が、声のボリュームを2音くらい落とし、歩く速度もゆっくりとなりながら、私に説明する。私も宏の話を聞き、

『あの栗田先生の目は、そういう事があったからなのね・・・しかし、その髙嶺っていう人も凄いね・・・あの先生にって私は写真でしか見た事ないけど・・・あの栗田先生の目を壊せるなんて相当狂暴なのね・・・あっでも先生にそのゼツ?それを受け能力が使えなくなったのなら・・・そこまで危険ではないんじゃないの?』

と私は宏の話を聞き、率直に思ったことをストレートにぶつけてみた。しかし、宏の表情は、狂暴そうな暗殺者が動き出したが、実は能力を失っていたという内容とは程遠いほどまた表情が曇り、

『いや、それが先生の手紙に書かれていた内容では・・・先生の絶を受けた人間は、宮川の姉ちゃん風に言えば能力者でも能力者やなくても、気そのものを遮断され、一生一切気の通わん人間になるんやけど、その髙嶺言うんにくらわせた絶は、指刀を差し込んだ時に、先生の指に髙嶺の気が巻き付く感触があったらしく、威力を半分殺されていたみたいなんや、だからその髙嶺が気を使えんかったんは1年くらいらしいわ。それで、力が戻ったようやから、先生はやり残した仕事をするために日本へ戻ってきたんや・・・俺が1番その中でも驚いたんわな・・・その髙嶺言うんは、まだ30歳そこそこの女や言う事や。あの先生とやり合うばけもんなんやさかい、どんだけ見た目も化け物じみてることか・・・ホンマゴリラみたいな女やないやろか?』

宏は最初は真剣にトーンを落とし話していたが、最後にはいつもの宏に戻っていた。

そして、このままこの事については私は深く大きくうなずいただけで、何も返せなかったので、宏も何も言わなかったが、宏はきっと、栗田先生にお会いし、そのゼツ?という技を習いたいんだろうなと私は長年の付き合い、妻としての勘からそう察していた。

宏から、大塚君のマンションに着くまでに受けた、髙嶺という存在の説明では、髙嶺一族は京都出身で江戸時代からどの勢力にも属さずに、大名から暗殺の依頼を受ける事を生業とし、幕末、明治、大正、昭和に平成と時代が過ぎても、そのスタンスは変わらず、一族の長子が必ず後を継ぐことで、家業を継承していっているらしい。

そして、髙嶺には、複数人の幹部から一暗殺者である部下数十人から形成される組織があり、その全員が何らしかの剣術の免許皆伝者にして全員が能力者であるとの事。

私が1番驚いたのは、その能力者の育て方で、髙嶺では、一族の血筋の人間でもそうでない者でも、3歳の頃に一度、能力を発動させた刀で切られるらしい。そして生き残った者のみを暗殺者として育てていくとの事で、宏が言うには、能力者の攻撃を受けた人間は、能力を鍛えなくても、先天性のように発動させることができるようになる可能性があるとの事。

そしてそれは50パーセントくらいの確率でその攻撃を受けた相手と同じ種類の能力が使えるようになるようで、しかし能力自体が使えるようになる可能性としては10パーセントもないらしい。

なので髙嶺では幼少期に切られて生き残ったけど能力の発動しなかった子については、髙嶺が現在、経営する別事業の方の社員へ回されるとの事。

そして能力が発動した子は、その時の当主の身の回りに置かれ、暗殺者集団の1員として重宝されるらしい。

今でも財界政界の大物たちから、果ては海外からも依頼はあるというから、世の闇とはどこまで深いものかと感じた。

そんな事を宏から聞いているうちに、ようやく大塚君の別宅である南堀江のマンションへ到着した。

【第8章 三つ巴 16話 久々の夫婦の時間の終わり 菊沢美佳帆終わり】第17話へ続く


第8章 三つ巴 17話 謎の女性現る

第8章 三つ巴 17話 謎の女性現る



神田川真理は、入社当初より、佐恵子の強い希望で、佐恵子の秘書として配属されていた。

新卒者とは思えない知性、清楚な立ち振る舞いと際立った美貌で、入社当初から、社内では注目を浴びていた人材であり、都内有名私立大学を卒業し、求人倍率500倍を超える宮川コーポレーションの入社試験の筆記部門で、首席で合格した才媛である。

ちなみに宮川佐恵子が次点、そして、稲垣加奈子と続く。

佐恵子が、側近として真理を強く希望した理由は、知性や人物もそうだが、その特異な能力を欲してという理由が最も大きかった。

【未来予知】数秒から数十秒先の、危険に関する未来を予知でき、【治療】は自身もしくは対象の思念を消費して、傷や体力を回復させることができる能力を持ち合わせていたためである。

何方も非常にレアな能力で、佐恵子は探し求めていた宝石を見つけたかのように喜び、真理とは公私を問わず、可能な限り真理を伴うようになった。

真理も当初は、佐恵子の、過剰な干渉に戸惑いを見せていたが、徐々に慣れてきて、現在では、できる限り佐恵子の希望に、応えるように心掛けるようになっていた。

佐恵子は、長い付き合いで、真理の【未来予知】の精度が非常に高いことを知っていた。

真理は事故には合わない。また、食中毒等も然りである。

もし仮に、雪崩や土砂崩れ、さらに火山弾に見舞われても、真理の身体能力なら、よほど大きな規模でない限り、すべてを見通し回避しきるだろう。

戦闘においてもそうだ。【未来予知】のせいで真理に攻撃を当てるのはすごく難しい。さらに詠春拳と合気道を使うので、下手に手を出すと、逆に手痛い反撃の的になってしまう。

仮に、攻撃が当たったとしても、厄介なことに【治療】がある。しかも、能力の並行使用の使い手なので手に負えない。

その真理が大声で、「避けて」と叫んだのである。

佐恵子は、そんなに大きな真理の声を聞いたのは初めてであった。

その声に驚き、振り返ると、いつの間にか目と鼻の先にまで迫った、モブと呼ばれていた男がいた。

血まみれの顔で歯を食いしばり、オーラを膨張させている。

佐恵子は正直驚愕した。モブという男程度に、扱えるオーラの量と流れではない。スピードも体術も先ほどとは、まるで別人だ。

(この動きはまるで・・・私・・?)

その驚きが、刹那だけ反応を鈍らせた。

モブの蹴りが佐恵子の顎を、完璧に捉え、佐恵子の長い髪の毛が蹴られた衝撃で大きく靡く。

脳を揺らされ、ぼやけた視界に、モブのドヤ顔が映る。

(は、速いっ・・!・・・血・・・?ダメージ??!・・バカな・・私のオーラをも貫いたというの・・・?!)

「佐恵子!!」

真理が悲鳴に近い声で叫ぶ。

「くらえ!」

辛うじて倒れず、グラつく佐恵子に対し、モブが更に、お得意の必殺パンチを放つため振りかぶった。

(う・・動け!動きなさい!!・・うううっ!・・ひ、膝が、わらって足が動かない・・・!)

ばきぃ!

左頬にモブのワンパターン右ストレートパンチがまともに入り、後方に吹っ飛び一回転して仰向けに倒れる。

「どうだ!このクソアマ!!思い知ったぐぶぅうっ!!!あぶっはぁあ!!」

勝鬨を上げようとしていたモブに、加奈子が、コンクリートの地面を砕く勢いの踏み込みで、背中と肩を同時にぶつける体当たりをモブに喰らわせ、左足を軸に後回蹴りでモブを蹴り飛ばす。

加奈子に蹴られた衝撃で、モブは、口から血をまき散らしながら、きりもみ状態で張慈円を目掛けて飛んでいく。

「ふん!」

張慈円は一声発し、身を捻り躱す。

がしゃーん!・・どさっ

モブは倉庫の壁に激突して、埃だらけの麻袋が積まれた荷物の上に落ちて動かなくなった。

加奈子は、蹴り飛ばしたモブには目もくれず、仰向けに倒れた佐恵子に駆け寄り抱き起した。

「し、支社長?!ま、真理ぃぃ――!!」

「わかってる!わかってるけど、この人たちをどうにかしてよ!」

真理を呼ぶが、加奈子が抜けたため、アレンと劉を二人同時に、相手しだした真理が、加奈子に向かって叫び返す。

「うっしゃ!」

加奈子は佐恵子を抱えて跳躍すると、中二階にある金属格子の足場に、佐恵子を横たえた。

「だ、大丈夫?!支社長!」

「ぐ・・ごほっ!・・っ・・い・・・よ・・」

「・・・。真理と交代してくるから、少しだけ待ってて!」

佐恵子のダメージは大きそうだが、生きている。ならば、とにかく真理だ。佐恵子の言葉を待たず、加奈子は中二階からすぐさま飛び降りた。

「真理!行って!」

飛び降りながら、アレンの背中を蹴り飛ばした加奈子が真理に叫ぶ。

「ええ!」

劉の横なぎの一閃を、しゃがんで躱し、その勢いで今度は、真理が跳躍する。

「くっそ!こいつ!全然当たらねえ!どうなってやがる!」

跳躍する真理を見上げながら、劉が怒鳴る。

「次は私が相手よ!」

劉は返事の代わりに青龍刀の斬撃を、加奈子目掛けて飛ばす。

ばちん!

加奈子は飛んできた斬撃を左手で弾き、そのまま劉に突進する。

「こいつらは、どうして効かねえんだよ!」

迫りくる加奈子に悪態をつきながらも、青龍刀を上段から切り込み応戦する。

さっきまで戦っていた真理という女とは、まるで違う戦闘スタイルに劉は面食らう。

獰猛な肉食獣のように容赦なく、重い攻撃が銃弾のように襲い掛かってくる。

アレンは戦闘開始前から、すでに加奈子という女に重傷にされていたうえ、先ほど更に上乗せで攻撃を浴びていた。アレンがいま立ち上がろうとしているのは、まさに奇跡だろう。

立ち上がったとしても、アレンは戦力にはもうなるまい。

ボスは?とみると、中央の鉄骨の柱に身を預け、頭を抱えなにやら、呻いたり、首を振って意識を保とうとしているように見えた。

あの佐恵子という女に、なにかされたのだろうが、すぐに回復するようなものなのだろうか。

外傷は見受けられないが、ボスにあれだけのダメージを与えるとは、とんでもない奴だ。

先ほど、すごい動きを見せたモブは、麻袋の向こう側に落ちて、ここからでは確認できない。

目の前で、髪の毛を逆立てている加奈子というヤツの、打撃面積を最大限に使った、体当たりと、空気を切裂く音を響かせた回蹴りを喰らったのだ。

流石にモブも、もう起きてはこないだろう。下手すれば本当に死んだかもしれない。

「ちくしょう・・!なんて日だ!」

劉幸喜は肚を括ると、目の前の獰猛な女だけに集中することにし、青龍刀を構えなおした。

真理は、カツンと音を響かせ、格子の床に着地すると、仰向けに寝かされた佐恵子に向かって走り寄りながら声をかける

「佐恵子!もう大丈夫よ」

しかし、あと数歩というところで、真理の【未来予知】が最大限の警鐘を鳴らす。

真理の視界全体が一気に死地になり、安全な場所は見当たらない。

「動かないでくださいね」

背中から掛けられた冷ややかな声に、真理はビクリとなり動きを止める。動けば、死ぬ。真理にはそれがわかった。

「真理!なにやってんのよ!」

階下でアレンをヘッドロックで決めながら、劉に膝蹴りを喰らわせた加奈子が、真理を見上げて、怒鳴る。

「・・・そ、そんなこと言われたって・・・」

安全地帯は、いま自分がいる空間しかない。少しでも動けば、そこは死地だ。それが視認できる真理は、一気に噴出した汗で、全身をびっしょりと濡らせながら、かろうじて呻いた。

仰向けになり、浅い呼吸をしている佐恵子まで、あと数歩だ。しかし、ここからでは【治療】は届かない。

佐恵子が寝かされているところは、死地の圏外ではあったのがせめてもの救いであった。

「動けば斬ります」

背後の影は、再度真理にそう念を押すと、倉庫の薄暗い照明の灯りの下までゆっくりと歩みでた。

白のブラウスに、上下黒のスーツ、下は膝上のタイトスカート姿に薄い黒色のパンストに身を包む女性で、身長は真理とほぼ同じぐらい、160cmは超えているだろうか。左手には1mほどの黒い棒を持ち、長さや反りの形状から、それが日本刀であることは容易に想像できた。

カツンカツンと金属の格子床をゆっくりと歩き、固まっている真理のすぐ後ろまで歩みを進めると、掛けている眼鏡を右手でくいっと直し、一同を見回してから、女性は誰ともなしに問うた。

「指定の時刻になりました。張慈円様はどちら様ですか?」

「俺だ。連絡した張慈円本人だ」

倉庫の中央で仁王立ちしている張慈円が、女に向かって応えた。佐恵子の恐慌のせいで、顔色は真っ青だが、それを出さずに堂々と答える。

「本人に違いないようですね。初めまして、髙嶺から参りました。わたくし、千原奈津紀と申します」

「ご足労いたみ入る!だが、見てのとおり取り込み中だ。商談は、こいつらを始末してからと言うことで、お願いしたいが、よろしいか?」

「た・髙嶺ですって・・こんな時に・・」

仰向けで、浅く呼吸をしていた佐恵子が、僅かに身を起こして唸った。

千原奈津紀と名乗った一見出来の良いキャリアウーマンにしか見えない女性は、中二階から張慈円を見下ろしながら続けて問いかける。

「始末できるのですか?」

「手を貸してくれるのと言うのか?」

千原は、表情なく一瞬だけ考えると、抑揚のない声で返す。

「依頼も受けていないのに、それはできません」

「正式に依頼するぞ?こいつらは宮川だ。お前たちにとっても、積年の相手ではないのか?」

「それも党首の判断次第です。しかし・・・手は貸すかどうかは、保留としても、ここでむざむざと、魔眼佐恵子を見逃す手はありませんね」

そう言うと、奈津紀は倒れている佐恵子に向き直り、カツンカツンと音をさせ歩き出す。

「ぐ・・・はぁ、はぁ、・・・・」

佐恵子は、荒い息をしながら、肘を使い仰向けのまま後ずさる。

奈津紀が、動けず汗びっしょりの真理の横まで来た時、階下で加奈子が吼えた。

「全開だ―――――!!」

劉が加奈子の喉元を、目掛けて一閃させた青龍刀を、鎬地側から器用につかみ取ると、バキン!と音を立てて、握力だけで砕き割った。

「なっ!?ぐおっ!!」

柄だけになった青龍刀を握った劉の鳩尾を蹴り抜くと、加奈子はしゃがみ、太腿を膨張させ、奈津紀目掛けて1階から飛びかかる。

「おらぁあああ!」

加奈子が、太腿を限界まで引き絞って大跳躍しながら、放った飛び蹴りを、奈津紀は身をかがめて躱す。

「真理今よ!」

加奈子が真理に言う。

「わかってる!」

真理の目の前から死地が消えていた。それを確認すると同時に、真理も佐恵子のところに駆け出していた。

「佐恵子!一気にいくから我慢して!」

真理は、佐恵子の隣に跪くと、両手をかざし力を集中する。

「うぅ・・真理・・面倒かけ」

「しゃべらないで!」

佐恵子が言い終わる前に、真理は能力を発動する。緑色の光に包まれた両手を、佐恵子の顔かざし、顔ごと緑色の光に包まれる。

「埃をまき散らして・・」

「支社長はやらせないわ!」

埃を嫌いながら口元を右手で抑えた、奈津紀に対して、髪の毛を逆立て、湯気が立ち上るようなオーラを纏わせた加奈子が吠え、突撃する。

加奈子の能力は【能力向上】、普段は50%ほどの発動状態であるが、今の加奈子は限界を超えた150%の状態である。

非常に強力ではあるが、100%以上の使用時間は非常に短いというリスクを背負う。

50%でもオリンピック選手やプロレスラーでも2,3人程度即座にねじ伏せることができるほど加奈子は強い。

単純な膂力向上のみに特化している分、純粋に素手での殴り合いの勝負であれば、ほぼ無敵である。

しかし、加奈子は野性的な感で、奈津紀の戦闘力をほぼ正確に感じていた。限界の150%で対峙するべき相手だとみたのだ。

「はあああ!」

奈津紀は、左手の親指で刀のツバを押し上げながら、腰を落とし、右手を柄にかけ抜刀し、突撃する加奈子と場所を交差するように踏み込み、そして納刀する。

実際はすさまじく速いのだが、流麗な動作ははっきりと目に焼き付き、演舞でも見ているかのようであった。

突撃した加奈子と、今は納刀しているが、確かに抜刀した奈津紀が場所を交差させる。

「おや!?・なるほど・・斬れないのですねその服・・。それにしてもすごいスピードですね。まるで飢えた獣のようですね、美しい容姿とは正反対の戦い方をなさる方のようですね。」

奈津紀は加奈子を振り返りながらそういった。

「く・・・!」

加奈子は飛び退り、自分の身体の表面を走った、刃の感触を確かめるように、剣先が走った太腿を摩りながら、距離をとる。

(じょ、冗談でしょ・・!?この速度に、合わせてきたっての・・?!!)

加奈子は肌を粟立たせた。

今の加奈子は、持ちうるすべての能力を全開放している。長く持って10分、それ以上使えばオーラはガス欠になってしまう。

奥の手の、フルパワー状態での攻撃を躱された上、太腿に一太刀も受けた。

加奈子は少しだけチラリと振り返り、佐恵子と真理の様子を確認する。

まだ座ってはいるが、佐恵子が上体を起こし、血色も戻りつつある姿に、加奈子はホッと胸をなでおろした。

【第8章 三つ巴 第17話 謎の女性現る終わり】第18話に続く
筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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