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第8章 三つ巴 24話 実験

第8章 三つ巴 24話 実験

真理は薄い緑のブラウスに、タイトスカートのスーツ姿のままだが、加奈子はスーツから動きやすいラフな格好になっていた。

ここは、病院にほど近い施設で、普段はリハビリなどで軽く運動するための体育館のような場所である。

事前に真理は、この施設をある目的で使う為、予約しておいたのだ。

黒いタンクトップに、黒のトレーニングパンツを履いた美女が、視界を遮った自身の色素の薄い前髪を右手でかき上げる。

脚は長く、出ているところは出て、引っ込むべきところは引っ込んだ体形の加奈子は小さく嘆息する。

「真理ぃ~まだやるの?」

仰向けになり荒い呼吸をしているモブから視線を外し、加奈子は振り向き真理に嫌そうな声を上げる。

「ええ・・・。もう少しやってみましょう。この間と違い過ぎて、辻褄が合いません・・。今度は、できるだけこの間の状況を再現しましょう」

真理は手に持ったバインダー上の用紙にペンを走らせ、加奈子に向けて顔を上げると提案する。

「はーい・・。じゃあ、支社長がこの子を足刀蹴りで蹴り倒すってところの再現からでいいかな?」

「ええ、やってちょうだい」

「おい!冗談じゃねえよ!!」

美女二人の、人権を無視した会話に突如大声で不平を口にし、乱入してきたのは、もう一人の当事者、モブこと茂部天牙である。

「なによ。警察に突き出さずに保護してあげてるじゃない。文句言わずに協力しなさいよ」

振り返り、ずいっと一歩進んでくる稲垣加奈子にモブはびくっとなる。加奈子本人にとっては何気ない行動なのかもしれないが、先ほどから加奈子とは何度も手合わせをさせられている。

稲垣加奈子の格闘スキル、センス、スピード、経験すべてにおいてモブとは段違いで、何度かの手合わせでも、モブは全く歯が立たないどころか、加奈子に触れることもできず、何度もノックダウンさせらていた。

当然加奈子自身、手加減はしているのだが、野性動物に比肩する運動能力の彼女はモブにとって強敵すぎた。

普通なら怖気づいてもしょうがない相手ではあるのだが、モブはいい意味でも悪い意味でも勇者である。

「くっそー!やられっぱなしでいられるかよ!うぉぉぉぉおぉお!」

「そうそう。こっちだって好きであんたなんかの組手をしてるわけじゃないんだからね」

いまいち加奈子の実力と見た目のギャップを認めたくないモブは、馬鹿正直に正面から突進し右手を振りかぶって殴り掛かった。

殴った後、馬乗りになりおとなしくさせたら、黒い生地の少ないタンクトップに窮屈そうに納まっているデカい胸でも触ってやろうかと、邪な妄想がモブの小さい脳に浮かんでくる。

加奈子は迎撃するべくゆっくりとした動作で構えなおす。モブの視線や僅かな動きで、邪な考えも手に取るようにわかる加奈子であったが、如何せん・・

「遅すぎる」

加奈子は一言モブを評価すると、モブは「ぐえっ」と声を上げ、振り上げた右手を突き出す前に、逆エビ反りの格好で停止する。

外聞など気とめる暇もなく、無様な声を発したとき、モブの顎には加奈子の足刀蹴りが突き刺さっていたのだ。

当然モブの煩悩思考はストップさせられ意識はブラックアウトする。

「うーん・・。この子がなぜあんな動きができたのか不思議でしょうがないです・・。動きはまるっきり素人、オルガノってところにいたボクサー崩れたちのほうがよっぽどマシです。・・・真理しゃん、なにか気づいたことあります?」

逆エビぞりの格好から、背中から地面に崩れ落ちたモブを一瞥し、加奈子は真理に問いかける。

「ダメね・・・。格闘センスも、なにかしらの能力も感じないわ。でも、流石に今のはダウンしちゃったけど、いままで、加奈子に相当に打込まれてるのに彼すごく頑丈ね・・・頑丈と言うより・・・なんて言うのかしら・・・」

首をかしげる真理に、加奈子も同意する。

「そうなのですよね。それは感心するところ。あ、しまった、やりすぎたかな?と思っても、案外すぐ復活するし、真理しゃんに一度【治療】してもらったとは言え、相当打たれ強い部類。・・・それが取り得って感じですね・・。でも、八尾さんたち警備の人にかかったら、まったく通用しないレベルでもあるのが、悲しいところ・・・」

「でも、それだけだとあの佐恵子を2回も一撃で戦闘不能にした説明がつかないわ・・・。佐恵子もアーマースーツ着てたのよ・・。しかも防御に割り当ててるオーラって佐恵子はかなり強いほうだし。・・平均的な能力を使えない成人男性で、佐恵子に勝てるかしら?」

「・・・無理・・かな。事前情報と準備があったとしても、難しすぎると思う。目を使わなかったとしてもダメ」

真理の質問に少し考える素振りを見せたが、加奈子がきっぱりと断言したため、のびて倒れているモブを二人で眺め、更に不思議がる。

すでに少しモブの相手をするのには退屈になった加奈子が、欠伸をし、大きく背伸びをした。真理は、口元を抑え少し考え事をしていたようであったが、もしかしてと思い加奈子に問いかける。

「加奈子。今オーラどうしてるの?」

「どうって・・。まったく使ってないわよ」

背中を伸ばしながら、腕の柔軟もしつつ加奈子が答える。

「全く使ってなかったの?じゃあ、次から使ってみて。この間みたいに」

「え?この間みたいにって、あの子どうなってもいいの?・・私は正直その子がどうなってもいいんだけど・・・」

冗談で言ってないであろう加奈子の発言に、実験に付き合わせたことに対して、少し申し訳なさそう顔をしながら言う。

「・・手加減はしてあげてね。でも、きっと大丈夫よ。彼、加奈子の猛烈な体当たりを受けても死ななかったじゃない。・・そのあと、彼は佐恵子に全く同じ技を繰り出した・・・。もしかしたら・・。ねえ、加奈子。ちょっと試してみたいの。能力使って?何でもいいから、軽く彼に打ち込んでみてよ」

「いいけど・・。真理の負担が重くなるわよ?彼の負担も重くなるのは自業自得だけど・・って、本当にタフね・・」

立ち上がった気配を感じ取った加奈子が、モブに向かって振り返る。

「ほんとうに・・」

立ち上がったモブを見て真理も加奈子に同意する。

「てめえら・・。いつまでこんなことやらせんだ!俺を甚振って楽しんでやがるのか?!ええ?!このサディストどもが!」

「ぷっ!あははは・・!真理しゃん言われてますよ?それに、あんたなんか甚振って楽しいわけないでしょ」

「どもって言ってるでしょ?加奈子も含まれてるのよ。・・ねえ、茂部君。わたしたち・・」

真理はお腹を抱えて笑う加奈子を少し睨んだが、すぐに普段の顔に戻るとモブに話しかける。

「モブって言うんじゃねえ!」

「モブって言うなって・・!あははは・・だって、モブって名前じゃん・・バカじゃん・・おなかいたい・・!・・・たしかに・いひひひ・・お腹痛いって」

真理とモブとのやり取りを聞いて、更に加奈子がお腹を抱える。

「ちょっと静かにしてよ加奈子。・・・加奈子の気持ちは分かるけど・・・。話ができないじゃない。それに、事実じゃないし、笑うところでもないわよ」

加奈子と真理のやり取りを睨んでいたモブだが、まともに加奈子や真理とやり合っても、勝てないことは分かっているので顔を歪めて憮然とした態度で言う。

「なあ!もう、帰ってもいいだろ?あんたらの実験ってのには付き合ってやったじゃねえか。まったく・・ケンカはしょっちゅうしてたけど、一日でこんなに殴られたの初めてだぜ・・・おい!茶髪のねーちゃんよ!痛ってえんだよてめえはよ!・・美人でもそんなんじゃ嫁の貰い手もねえんだろ!?・・・しょうがねえな・・ツラはいいから俺が仕方なくかわいがってやるぜ?へへへ・・」

モブの調子に乗った発言に、加奈子の表情が変わり、加奈子を中心に一気に温度が下がる。

「あんたねえ、・・・もう限界・・。あんたのせいで、支社長があんなことになって、危なかったんだから。本当ならあんたなんて・・・」

先ほどまで笑っていた雰囲気はまるでなく、今の加奈子の言葉には怒気が混ざり、目尻を吊り上げ、殺気の籠ったオーラが漏れ出している。

「ストップストップ加奈子・・。一番ひどくやられた佐恵子が承知してるのよ?そう話し合って決めたでじゃない?・・えっと・・じゃあ、今日はこれが最後にします。ええっと・・天牙君?」

「ふん」と不服そうに黙った加奈子が、腰に両手をあて、床を右足のつま先でダンダンと蹴って黙った。

一瞬ではあったが加奈子の殺気にさらされたのと、真理が天牙と呼びなおしてくれたことで、モブは怯えから、素直に真理に向き直り冷や汗を流しながら答える。

「・・・あ、ああ、いいぜ。絶対次が最後な?」

「・・・言葉遣いに気をつけなさいよ。あなたよくてブタ箱行きで、悪けりゃ私に殺されててもおかしく無いことを自覚しなさい!・・・支社長や真理が言うから、仕方なく機嫌のいい振りして付き合ってあげてるの。そこのところ分かってないんでしょ?・・・ガキだから」

普段の親しみやすい表情は全くなく、かなり不機嫌になった様子の加奈子が、髪をかき上げながら顔を上げモブを睨む。

「・・・オーラ込めて強く殴るとあんた程度じゃ死ぬと思うから、仕方なく手加減してあげるわ・・。でも、気をつけなさいよ?・・・私の気が変わるかもしれないでしょ?」

加奈子の発言にモブは無言ではあったが、加奈子の殺気に当てられ真っ青になり、ゴクリと喉をならし表情が引きつっている。

「はっ!」

加奈子の発する殺気に、怖気て怯え切ったモブの返答を待たず、加奈子は気合の発声と同時に、モブ目掛け間合いを詰めた。

だん!と加奈子が左足を踏み込む音が響きわたり、それとほぼ同時にモブの胸の中心部には掌底突きが決まっていた。

千原奈津紀という強敵の出現、茂部天牙という雑魚の思わぬ攻撃、それらの偶然が重なったとはいえ、宮川佐恵子という護衛対象を守り切れなかった加奈子は、その原因の一つの茂部天牙に対して大いに思うところがあった。

加奈子は直情的なところもあるが、馬鹿ではないし寧ろかなり聡い、しかも見た目に騙されやすいが思慮も深い。

真理も、長年の付き合いで、そのあたりは加奈子を理解しているため、それ以上窘めなかったのだ。怒ってはいても、怒りに任せてモブを力任せに攻撃したりはしないと分かっていた。

加奈子はモブにヒットする瞬間に、後方へ手を引き威力を半減させたのだが、どすっと鈍い音がしてモブは1mほど後ろに吹き飛び、そのまま両足で着地した。

「どうかしら?」

手加減をしたとは言えオーラを込めた掌底打を放った格好のままで、加奈子が誰ともなしに言う。

モブは、綺麗に着地したかのように見えたが、直ぐに両ひざを地面に付き、打たれた胸を押さえながら、床に突っ伏した。

「~~~っ!!」

胸を撃たれた衝撃で呼吸が止まり、突っ伏したまま苦しそうに脂汗をかくモブ。

そのモブに向かって真理が言う。

「天牙君。加奈子に反撃して」

「さすが真理。このポーズをとってる男性にそのセリフ・・・。やっぱりサディスト・・」

両膝と額を床に付けて悶絶しているモブに対して、真理が無茶な要求をする。

表情から怒気の消えた加奈子が、少し呆れ気味な口調で、真理のほうを向きなおり軽口を叩いていると。

「ほら、加奈子!・・彼立ったわよ。・・やっぱり私の【治療】も・・取り込んで・・いえ・・少し違うようね・・」

真理が少し慌てた声で、加奈子に喚起する。

真理の声に少し驚き、加奈子は踵を返すと、胸を押さえ、ふらつきながらもモブは立ち上がっていた。

「ゼェゼェ・・痛ってえ・・・。・・ぜぇぜぇ・・・何度も何度も殴りやがって・・・!そう言う実験なんだろ?!・・言う通りに殴り返してやるからな!」

「ふん!・・いらっしゃいな!」

加奈子はモブに対して顎をしゃくりながら手招きし、構えようとした瞬間、モブが3mほどの距離を一気に詰めてくる。

「ん!!?」

猛スピードで迫るモブを見ながら、加奈子はその速度に肌が粟立つのを感じた。

しかし、加奈子は戦歴1000以上の経験から驚きながらも冷静にモブを観察する。

踏み込みの一瞬手前で、掌底を相手の胸に当て、その後に踏み込みを行い、全体重を掌底に乗せるという地味だが見た目以上の破壊力を持つ技、この技を会得するには相当な練習量が必要だ。

(これは・・、私の技?・・こんなチンピラ如きにおいそれと真似できるものなんかじゃない・・。佐恵子や真理でも上手にできないのよ?・・それを完璧に・・・?!)

加奈子はモブと対峙して初めて、真剣な顔になりモブの右手掌底打を半身になり左手で受け流す。

もしもモブが自分の動きと同じような動きができるのなら、容赦できる相手ではない。

加奈子は、そう判断するとモブの掌底を受け流し、半身になった身体を更に、躍歩し右脚で、モブの右脚の膝裏を蹴り抜いて、モブの膝を床まで打ち落とし、同時にモブの左手と頭を押さえつけ動きを封じる。

「痛ってえええ!ギブギブギブ!!」

「・・・・・ん」

モブの背中に伸し掛かって腕と脚を本気でキメていた加奈子が、慌てて力を緩めるが、キメた態勢は崩さない。

「まるっきり加奈子と同じ動きだったわ・・・。空振りだけど・・」

バインダーにペンを走らせながら、驚いた表情で真理が呟く。

「いやいや、そこは避けますよさすがに・・」

モブに抵抗の意思とオーラが感じられなくなったのを確認したうえで、モブの上から退いた加奈子が、真理を僅かに非難する。

「あ、そういう意味じゃなくてね。でも、何となく彼の能力がわかったかもしれないわね。何度か実験してみましょう・・。【治療】も必要みたいだし、続けて試したいことがあるの」

「ま、まだやんのかよ?勘弁してくれよ・・最後って言ったじゃねえか」

「【治療】するだけですよ天牙さん。今日はもう、痛い実験はしませんから安心してください」

真理の発言にホッとした顔になり、床に大の字になりモブは寝転んだ。

加奈子はモブに対しての蟠りが晴れたわけではないが、ずっとそういう感情に構っていることができない性格でもあったので、ひとまずモブのことで、周りに感情を露わにすることを止めることに決めた。

そして加奈子は小声で「今日は、ってところが真理しゃんの抜け目ないところなのです」と呟いたが、その声は誰にも聞こえなかった。

【第8章 三つ巴 24話 実験 終わり】第25話へ続く
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コメント
モブの『コピー技』は中々難儀ですね。
加奈子&真理の掛け合いは、しっかり者の真理と天真爛漫な加奈子の関係性が垣間見えて楽しいです。
大切な佐恵子を傷付けられた加奈子のイラつく怒りも気持ちが伝わります。
うーん、やっぱり加奈子ちゃん最高!
2018/07/27(金) 17:58 | URL | カリスマ店員 #-[ 編集]
カリスマ店員様
これから重要な役割を果たす3人なので、この3人に思い入れを持ち読んでいただけて幸いです。これからも楽しいコメントをお待ちしておりますね。
2018/08/02(木) 01:02 | URL | 千景 #-[ 編集]
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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