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第8章 三つ巴 28話 思わぬ再会


強調文pan style="color:#000000">第8章 三つ巴 28話 思わぬ再会

最近少し疲れ気味に見えていた菊沢美佳帆であったが、先ほどマンションで会った時は最近の不調ぶりを全く感じさせないほど元気な様子であった。

体調不良ではないのは喜ばしいのではあるが、それだけに心が痛む。

菊沢美佳帆は俺と粉川に対して快活な口調で見張りの苦労を労うと、久しぶりの休日に羽を伸ばすようにと餞別まで渡してくれた。

もちろん俺たちは断ったのだが、美佳帆はいつも無理聞いてもらっているし、一度出したものだから今更受取れないと言い張り、頑として受け取ってくれなかったのだ。

菊沢美佳帆から渡された封筒には3万円の現金と、メモ書きも同封されていた。

(勤務時間外なのにいつも無理聞いてくれてありがとう。私達と関わっていると警察内だと煙たがられちゃうのにごめんね)

小さなメモ用紙には、女性らしい字ではあるが達筆な文字が並んでいた。

「くっ・・菊沢さん・・・許してくれ・・俺は・どうしても桜子を無事取り戻したいんだ・・・」

悔恨の独り言は、繁華街の雑踏にかき消され誰にも聞かれることはなかったが、涙と鼻水で汚れた顔を、通り過ぎる人々が少し怪訝な顔をさせていることを、気にする余裕もなかった。

俺と同じく粉川卓也も同じように菊沢さんから餞別を貰ったが、なにか浮かない顔をしており、俺とは会話もなく先ほど別れたところだ。

こういう場合二人で酒でも飲みに行くのが通例だっただけに、今日のような別れ方はかなり珍しいパターンだ。しかし今は俺もそのほうが都合はよかった。

かつて一緒に柔道のインターハイで優勝した仲間ではあるが、今の俺はとても酒を飲めるような気分ではない。

攫われ今も凌辱されているかもしれない桜子のことが脳裏に甦り、かき消そうと頭を振る。

しょうがないんだ・・。と言い聞かせスマホを操作しいつもの通り、張慈円にメールを送る。



スマホの画面を確認した張慈円は、満足そうに口角を上げ、悪そうな顔がさらに悪さを増す笑みを浮かべてそういった。

「ボス、連絡が入ったんですか?」

「ああ、粉川と杉から連絡が入った。いま菊沢の嫁が一人であのマンションにいるのは間違いない」

張慈円は隣の6階建てのマンションを見下ろしながら、劉幸喜の質問に答える。

「ではさっき説明した通りだ。俺たちはここから飛び移りマンションの屋上から先に先行する。貴様らはマンションの入口から逃走経路を断ちながら2階の部屋まで上がってきてくれ。外はおれの手下がガッチリ固めているから逃げられる心配はないと思うんだがな」

振り返り、空きテナントとなっている雑居ビルの一室にいる面々に言う。

「承知致しました。・・しかし張慈円さま?今宵の獲物は女一人の捕物劇ですか?・・・少し、いえ・・・かなり大げさすぎると思いますが?」

腰に下げた大刀の柄を大事そうに摩りながら、タイトミニのスーツを着こなした美貌の女剣士がやや呆れた口調で張慈円に問いかけた。

「まったくだよ。しかも得物を殺さず捕らえろってのは・・どうにも珍しい依頼だねえ・・。それともこの写真の女は僕達が3人も必要なほど凄腕なのかい?」

張慈円が美貌の女剣士こと千原奈津紀の質問に答える前に、スクエアの眼鏡をかけ、真っ白なスーツを着こなしたした剣士が奈津紀に同調するような発言を重ねた。

奈津紀と同じように腰に刀を下げているが柄や鞘までもが白で統一されており、唯一鍔だけが黒鉄に煌めいていた。

「・・栄一さんと意見が同じなのは不本意ですが、張慈円さま、私どもが納得いく説明はございます?」

奈津紀は一応自分と同格同列にあたる白スーツの井川栄一に一瞬だけ目をやると、再度、張慈円に問いかけた。

「うーん・・。治療がほしいだけならそう言う依頼だけすればよかったんじゃない?そしたら私一人だけで、料金も安く済んだのに」

張慈円が答える前に、もう一人奈津紀の後ろに座っているやや小柄な女性が、明るい声でネイルの手入れをしながら口を開いた。

奈津紀と同じようにダーク色のスーツ、そして腰にはやはり大刀を帯びている。

スカートは奈津紀ほどミニではなく、膝が見える程度である。しかしサイドスリットの入ったタイトスカートからは白い肌が覗いており、艶めかしくはあるが、動きやすさを重視しているようだ。

張慈円は髙嶺の3人に向き直りゆっくりと口を開いた。

「重ねて礼を言う。治療する人数が一人増えたというのにな」

張慈円はそう言うと、奈津紀の後ろに座る小柄な女性に僅かに頭を下げた。

「ぜんぜんおっけ。足手まといになられて妙なことになるよりよっぽどマシだからね。それに、二人も三人も大差ないから」

椅子に座ったまま手をパタパタと振り、目も合わせず爪につけた液体を乾かすように息をふぅーと拭きながら張慈円に軽い口調で返す。

裏社会にすら畏怖の対象とされている髙嶺の者とは思えない見た目の童顔で可愛らしい顔立ちをした女剣士が、ボスにすら目も合わせずにそう言った軽い様子に、劉幸喜は少しばかりムッとしてしまうが、ボスが文句を言ってないので、仕方なく黙っていることにしたようだ。

「チビ!オマエスゴイ!イタミガヒイテ、ウゴケルヨウニナッタ!!カンシャスル!!ソレニナンダカチョウシイイ!チカラガドンドンワイテク・・」」

「・・あのさぁ?!・・わたし、南川沙織っていうの。それにあんたがでかいだけだからね?・・あと次チビって言ったら殺すからね?」

チビと言われて、すかさずアレンに訂正いれた南川沙織の目には僅かに殺気が籠っていた。

傷が完治し、身体の内から湧き上がってくる不思議なパワーの万能感に酔いしれていたアレンだったが、童顔小柄な女剣士の殺気に当てられ、冷水を浴びせられたように身体を竦ませた。

「ワ、ワルカッタ、ミナミカワ!ユルシテクレ!」

「ちっ、呼び捨てかよ」

アレンと沙織のやり取りが面倒なことになる前に、話を進めたい奈津紀はふぅとわざとらしくため息をつくと、張慈円に目で続きを話すように催促する。

「・・菊一事務所だけを相手にするわけにはいかなくなった・・と言うことだ。本国からの人員も間に合わん」

「宮コーですね」

「そのとおりだ」

「いいでしょう。では条件は話した通り・・。前金は入金確認してますわ・・それと、魔眼は我らがいただく・・と言うことで宜しいですね?」

「構わない魔眼はくれてやる、その代わり・・湾岸開発地のテリトリーは3割・・・、香港に割譲してもらうぞ?そちらこそ良いのか?」

「それで問題ありません。御屋形様のお考えでは、大陸とのつながりがある方が利益は大きいとのことです。御屋形様は約定されました。破ることはございませんのでご心配なきよう」

髙嶺六刃仙6名のうち3名も雇うほどの大金、期間は宮コーが湾岸開発を完成させるまでという条件付きの契約ではあるが、今回の菊沢美佳帆拉致に関して言えば、過剰な戦力である。

奈津紀はそこまでの大金を払った香港三合会新義安の財力は侮れないとは感じつつも、張慈円のほかの思惑について推測が及んでいた奈津紀は率直に張慈円に質問を投げかけてみる。

「もしかして、我らの実力をお疑いですか?私の力量は先日わかったはず・・・。栄一さんや沙織の実力もこの際目にできれば・・というお考えなのですか?もし、そうならば張慈円さま・・・案外・・・策略家ですね。そんな駆け引きを労さなくてもクライアントとしての要求であれば、お応えせざるを得ませんが・・・?」

「・・・ふん・・、では要求だ。貴様の強さは信頼しているが、後ろの二人は俺にとっては未知数だからな。菊沢美佳帆も能力者で鉄扇を使った軍配術を使うと聞く。仮にも髙嶺だ。疑うわけではないが、そちらの二人の手並みを見せて頂きたい」

張慈円は奈津紀のことを心中で「やりにくい女だ」と悪態をついたが、それは口には出さずクライアントとして当然の要求として奈津紀に告げた。

「・・ふーん・・治療だけだと退屈だから別にいいけど」

「・・・髙嶺六刃仙に数えられる僕らの実力を疑うとは心外だねえ・・・、奈津紀さんの実力は見たんだろ?・・僕らも同列だよ?・・・まったく・・僕らの評判は香港まで届いていないのかい?」

張慈円のほうを見ずに指のピンクに着色したネイルの具合を確認しながら、気のない返事を返す南川沙織と、南川沙織とは対照的に張慈円に向かってわざとらしくため息をつき大げさな身振りで落胆するふりをみせながら言う井川栄一であった。

「承知しました。栄一さんと沙織を先行させましょう。私は後ろで見学・・失礼、後詰をいたしますわ」

奈津紀は顔には出さないが面倒臭いなと思いながら張慈円に答えたのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ええ・・ありがとうございます・・ええ・・はい・・私は・・・大丈夫ですわ・・。ええ、そちらも・・・お気をつけて・・はい・・豊島様こそ・・ふふ・・では、そろそろ・・・・ええ・・私も・・ではまた後で・・・ふふふ・・」

皆から背を向けて、小声で通話していた宮川佐恵子は、通話中に緩みきった表情を引き締め直すと大塚マンション組の面々に振り返る。

「ひっ!」

振り返った佐恵子のすぐ目と鼻の先には天然こと斎藤アリサの顔があり、佐恵子は素っ頓狂な声を上げてのけ反ってしまった。

「ねね!社長!今の和尚?!また後で会うの?!」

驚いた表情のまま仰け反っている佐恵子に、アリサはさらに詰め寄って追い打ちをかける。

「な、なんですのあなた?!聞いてらしたの?!」

佐恵子とアリサのやり取りを少し離れたところで見ていた真理と加奈子は耳を赤くして、必死で笑わないようにして耐えている。

「なるほどねぇ・・和尚かぁ~・・・朴念仁みたいなふりしてるのに手が早いなぁ~・・まったくむっつりエロ坊主なんだから・・、しかも合併した相手の社長を狙うなんて大胆よね・・。あ~あ・・・話しぶりからしても、もう仲良しみたいだし・・・」


姫こと寺野麗華も腕を組み一人で納得したように目を閉じてうんうんと頷きながら呟いている。

「ちょっと・・!豊島様のことそんな風に言わないでくださる?!」

顔を赤くさせた佐恵子がアリサを押しのけ麗華の鼻の頭に人差指を押し付け詰め寄る。

「え~?!でも支社長。私のほうがずっとずうっと和尚との付き合いは長いんですよ?高校時代からの付き合いだから・・・そうですねえ、かれこれ20年の付き合いですね。事務所の面子はほとんど高校時代からの付き合いだし・・そう言えば和尚も色々あったんですよ?・・・・私、支社長より和尚のことずっとよーく知ってますよ?ふふふ・・・」

佐恵子に詰め寄られた麗華は涼しい顔で目を逸らし、佐恵子の手を払いながら、勝ち誇ったような仕草と表情で佐恵子の反応を楽しむように言葉で煽る。

「っ・・!・・な、なんですって!!」

歯並びの良い白い歯を食いしばり、顔を更に顔を赤くさせた佐恵子が何か言い返そうと口をパクパクしていたが、とっさに真理と加奈子が二人を引き離す。

「ま、まあまあ・・さ、佐恵子・・いまはそんなことをしている状況では・・。そろそろ時間よ。行きましょう?」

真理は腕時計を見て時間が迫ったことを告げながら佐恵子に促す。

「・・む・・・、え、ええ・・そうですわね」

言い返したかったが、そういう突っ込まれ方になれていない佐恵子は上手く麗華に返せず、渡りに船とばかりに真理の言葉に従った。

「じゃ、じゃあ私が先に行くわ。支社長は私の後にお願いします」

佐恵子がそう言ったタイミングですかさず加奈子もみんなに聞こえるように言う。

佐恵子たちがいるのは、大塚マンションの3階の角部屋である。いま、菊沢美佳帆と水島喜八がいるのはマンションの2階の角部屋、ちょうどこの部屋の真下である。

美佳帆が2階の大塚さんの部屋に来るずいぶん前からこの空部屋に先行して待機していたのだ。

美佳帆が杉誠一と粉川卓也を送り出し、部屋の中をクリーニング、いわゆる盗聴機や盗撮機が無いことが確認できたら、ベランダの床にある避難経路の床扉を開け、タラップを使って真下の部屋のベランダに侵入する手はずになっている。

美佳帆からのクリーニングが終わった連絡は先ほど真理に届いていた。

加奈子、佐恵子、アリサ、麗華、真理の順番で3階ベランダのタラップを降りる。

「あ、あの・・寺野さん・・。佐恵子はああいった煽り耐性全くないの・・。0なの。もう勘弁してあげてね・・」

最後に残った真理は、麗華がタラップを降りようとして真理と向き合ったときに、真理は控えめな困った顔で麗華にそう言った。

「えへっ・・ごめんね神田川さん。支社長さんが可愛い反応するからついからかっちゃった・・。あんなに顔を赤くさせて真面目な顔で・・くださる?!なんて言われたら・・・ぷっ・・ごめんなさい。・・・真理さん鋭そうだから気づいたかもしれないけど、哲司のこと私もずっと気になってたから、ついね・・・。でも、きっともう言わないから、安心して。・・・相手が宮川支社長なら私も諦めつくと思う・・」

真理にそう言われた麗華も、先ほどの佐恵子とのやり取りを思い出したのか少し吹き出していたが、長年心の奥底で燻っていた思いを真理に告げ一瞬だけ寂しそうな顔をした後、いつもの笑顔にもどり素直に謝って真理にウインクし、真理の返答を待たずタラップを滑り降りていった。一瞬だけ見えた麗華の目には涙が浮かんでいた。


2階の部屋に入って美佳帆と無事再開した面々は一様にひとまず笑顔で再開を喜んだが、すぐに水島に暗示をかけるべく佐恵子が水島を監禁している部屋へと急ぐ。

「・・・ほぉおお?こりゃまた別嬪さんだ。初めて見る顔ですねえ。クソ探偵事務所の雌どもも良い目の保養にはなりますが、これは新しい趣向ですなあ」

扉を開くなり、椅子に座らされ縛られた中年のオールバック狐目の男が、口笛を吹きながら佐恵子たちを頭の先からつま先まで観察し独特の口調で感想を漏らす。真理と加奈子も同じくじろじろと無遠慮に厭らしく眺めまくる様子に、加奈子は思わず両肘を掴んで身震いするようなポーズをとってしまう。

「うう・・気色悪い人ですね」

加奈子は素直に水島喜八の感想を言う。

佐恵子の目には水島喜八の纏った好色なオーラが見えていたが、そういう目を向けてくる男は少なからずいたので、そう言う意味では先ほどの麗華の口撃よりは耐性があった。

「・・・この方が水島さんですわよね?」

水島の視線を無視して振り返り後ろにいた美佳帆に一応確認を取る。

「ええ、そうです」

美佳帆の答えを聞くと佐恵子は水島に向き直り、水島と距離を詰め、顔を水島に近づける。

「おおおおお?!近すぎやしませんかお嬢さん?ほら!私と口付がしたいのなら遠慮はいりませんよぉ?さあ!・・まぁ、あなたみたいな熟れ切ってない小娘でも一応女のようですしねえ!おや?あなた!・・・良い匂いしますねえ!」

いつも杉や粉川といった屈強な柔道男たちに見張られていた水島は、いつもと違った人物の登場のいきなりの行動に妙なテンションになり興奮していた。

自分に顔を近づけてきた初対面の女の匂いを嗅ごうと鼻をクンクンさせている様子は、極めて異常な様子に見え、加奈子も真理も警戒しつつもドン引き顔である。

「・・・気持ち悪いですわねえ・・一気に気が進まなくなったけど・・そうも言ってられません・・・仕方ありませんわ・・・【魅了】!」

佐恵子は水島喜八の正直な感想を口にすると、目に力を集中させ力を水島に対して開放する。

「うぉ!・・ぉぉぉ・・ぉ・・!・・」

佐恵子の目が妖しく光り、水島の目にその光が吸い込まれていく。

水島は一瞬眩しそうに眼を閉じようとしたが、抗い難い力により目を閉じることができず、見開き光を吸い込み続ける。

「ねえ水島さん、起きてくださる?」

光を吸い込みつくし、茫然としている水島に向かって佐恵子が口を開く。

「ええ!ええ!起きてますとも!あなたがいらっしゃってるというのに寝てなんかいられませんよ!」

今の水島は佐恵子のことを10年来の親友と思って話をしているのだが、佐恵子は普段の水島を知らない。

水島は普段から異常行動や言動をするせいで、美佳帆から見れば、そこまで変化はないように見えていた。

「これって・・・、何か効果あったの?」

「佐恵子の魅了です。・・いま水島さんは佐恵子のことを親友だと思ってます」

美佳帆は、訝し気に小声で真理の耳元で囁くと真理も小声で答えた。

「そ、そうなの?水島にこれと言った変化はないように見えるんだけど・・・」

「能力者ではない人が佐恵子の力に抵抗するのは無理です・・・。絶対に効いてますよ」

目をギラギラと輝かせ、無駄に大きな声で会話をしながら、相変わらず佐恵子のことを厭らしい目つきで舐めるように見ている水島を美佳帆は、普段とあまり変わらないわねえ、という感想を持って眺めていた。

「はい・・。そうですわ。ですから、警察に行って自首してほしいのです。」

「わかりましたよ。貴女がそうおっしゃるならそれが一番いいのでしょう!それにはこの戒めを解いていただかなければいけませんがよろしいですか?」

美佳帆と真理が会話している間に、佐恵子と水島の話はあり得ないほどスムーズに進み、水島が独りで警察署まで出頭して洗いざらい過去の罪を話すということでまとまっていた。

「ちょ、ちょっと!支社長!そんな言葉嘘に決まってます!解いたら暴れ出しちゃうわ」

佐恵子が水島を拘束している手錠を外そうとしていると、美佳帆は慌てて声を掛けた。

「大丈夫ですわ。ねえ、水島さん」

「もちろんです!・・デカ尻の菊沢美佳帆さん、あなたを目と妄想で犯せなくなるのは残念ですが、もうあなたの妄想は散々しつくしました。知ってましたか?この部屋からだとあなたがシャワーを浴びている音が聞こえるんですよ・・。シャワーを浴びる以外の音もしてましたねえ!・・・ですが今は、この一番の親友である・・・ええっと」

「宮川ですわ」

「そう!私には親友の宮川さんがいますしねえ。彼女に嘘なんて言うはずないじゃないですか!」

ギラギラした目で言うかみ合わないことを言う水島に呆気にとられる美佳帆。

「美佳帆さん、大丈夫です。完全に効いてますから・・」

水島と佐恵子のやり取りを見ていた美佳帆に真理がそう声をかける。

「・・・一番の親友の名前すら知らない状態だけど大丈夫なのかしら・・・?」

自慰の時の声や音まで聞かれたのかしらと内心で心配しつつも、顔には出さず美佳帆が真理に言うでもなく独り言のように呟いた一言に、真理が笑顔で頷く。

「大丈夫です」

真理と美佳帆がそういうやり取りをしている間に、佐恵子は水島の拘束をすべて解いてしまった。

「うーん!久しぶりに身体が思い切り伸ばせますねえ!宮川さん!親友である私にハグしてディープキスしてもいいんですよ?・・そうでしたか。これは気づかずに申し訳ありません!大勢の前で照れているんですね?照れているなら私から・・」

水島は両手を上に伸ばして背伸びをしたり、首をコキコキと鳴らしたりしているが、暴れ出したり逃げ出そうという素振りなく、佐恵子に両手を向け今にも抱き着きそうな様子で佐恵子に近づいていく。

「あなたのような人からそのような言葉、怖気が走ります。冗談じゃありませんわ。それより水島さん。善は急げと言いますしさっそく行ったほうがいいですわ。ここにいる菊沢美佳帆さんから逃げるように慌てた様子で飛び出して走っていくのがいいですわ」

「そうですか・・残念ですが・・。貴女がそう言うのです!そうさせてもらいます!」

佐恵子の手厳しい拒絶の言葉にもめげず、促されるまま水島は素直にそう言うと、監禁されていた部屋からリビングに出てきて、呆気にとられた麗華とアリサを好色な目で見ながらもしっかりとした足取りで玄関に向かって歩いていく。

「では、行ってまいります!」

「ごきげんよう」

佐恵子は笑顔で水島に手を振ると、それに対して水島も右手を軽く上げると、扉を勢いよく開け靴も履かずに何かから逃げるように飛び出し、そのまま走って出ていってしまった。

「・・・・これで、おそらく水島さんは警察署に到着することなくこの世を去ると思いますわ・・・。普通に開放したところで、水島さんも命を狙われてるぐらいの想像はできるでしょうから、出ていかないでしょうしね・・。後味の良いものではありませんが、仕方ありません」

「なんだか・・・支社長が言った通り逃げ出したように出ていきましたね。本当に警察署に・・・?大丈夫かしら・・・」

佐恵子の能力で行動を抑制したとは言え、佐恵子の【魅了】による操作を初めて見る美佳帆や麗華、アリサは本当に警察署に向かって行ったのかは疑問ではあった為、美佳帆の感想は3人の総意の感想であった。

しかし、素直に警察署に向かったとしても水島は到着しないだろう。

ほぼ確実にこのマンションが敵の目に監視されていることを考えると、水島が独りで部屋から出てきたことはすぐに察知されてしまい捕らえられるからだ。

「私たちは真理の能力で危険を回避して、マンションを監視している目を掻い潜って3階の空き部屋に潜入はできましたが・・・・真理・・。真理の能力に引っかかった警戒網って不自然なほど多かったのでしょ?」

「はい、ここのマンションは完全に監視されていますね。間違いありません。水島さんはすぐ敵に捕捉されるでしょう・・」

佐恵子の問いに真理はきっぱりと即答した。

「さっきの飛び出し方で、敵は菊沢美佳帆を水島が自力で振り払い、逃げ出した・・・と考えるでしょう。でも、すぐに捕まりますわ・・・。そして・・来ますわよ・・。ここには美佳帆さましかいないと敵は思ってらっしゃいますからね・・。加奈子は玄関。わたくしと真理と美佳帆さまはリビング。麗華さまとアリサさまは外から見えないようにリビングのベランダ側を警戒してください」

敵とは言え、今日初対面の水島に確実に死ぬような行動暗示をかけたことで、少し浮かない顔の佐恵子ではあったが、すぐに来るであろう驚異に対して的確に指示を飛ばす。

「そんなにすぐ来てくれるかなぁ・・」

「どうかな・・・。でも、このマンションって四六時中敵に見張られてたってことは・・来るんじゃない?・・・それに今更ながら見張られてたって知っちゃうとなんだか気味が悪いわね・・・。アリサや私の顔も敵にばっちり割れてるってことよね・・」


アリサが外から姿が見られないようにリビングの床に屈んだ状態で誰ともなく呟くと、同じような姿勢で待機している麗華がアリサに向かって言う。

「菊沢事務所員の全員の顔は割れてますよ・・・。残念ですが、それは間違いありません。ですから、本社に皆さんに引っ越してもらいましたのもそのためです」

同じようにリビングの床で屈んだ真理が二人に言う。

「そっか・・・スリルとバイオレンスな毎日が始まっちゃうってことね・・・」

「麗華ちゃん!私達で千尋ちゃんと雪ちゃんの分までフォローしようね!」

「ええ!もちろんよ!香港マフィアだろうが髙嶺だろうが、私たちにケンカ売ったこと後悔させてやるんだから!」

屈んだままの状態で麗華とアリサの会話を聞きつつ、美佳帆は不調ながらも【百聞】を限界まで広げ展開していた。

今まで何かと敵視していたお嬢こと伊芸千尋のことまで気に掛けたような麗華の素振りに、美佳帆は満足そうに目を細めて頷くと自分の能力に集中する。

もし、美佳帆が本調子であれば隣の雑居ビルにいる張慈円や髙嶺一派の動向にも気づいたのだが、今の美佳帆は半径20mほどしか【百聞】を展開できない。

同じく真理も【危険予知】を最大半径まで展開し警戒していたのだが、まずは美佳帆が人差指を上げ、皆に注意を促す。

「あれだけ大きな音で走っていった水島の足音が・・1階のエントランス付近で消えたわ・・!ん??・・上からも?・・ほとんど足音はさせてない・・。歩幅は一定・・・。素人じゃない足運び・・。降りてきている・・。上から3人・・下は・・たぶん2人・・・?下からも上から来てるわ・・!素人の足音じゃない!」

美佳帆がボリュームを落とし、かろうじて皆に聞こえるように緊張した声で【百聞】で拾った情報を伝える。ほかのマンションの部屋の雑多な雑音も聞こえてくるが、本調子ではないため範囲は狭いが、佐恵子に施された【冷静】と【沈着】の効果は【百聞】の範囲内に置いては十分に発揮されているようで、聞き分けたい音は鮮明に聞き取れた。

「5人ですか・・多いですわね・・・。張慈円さまと劉と呼ばれていた方・・・それと、その人数・・・まさか髙嶺も・・?・・加奈子!先手必勝よ?準備よろしくて?」

佐恵子も声を押し殺し、全員に【拳気】【疾風】の付与を飛ばす。

この間の千原奈津紀のような手練れまで来ているかもしれないと思うと、嫌が応でも緊張は高まる。

『来たわ!!』

「加奈子!!これは・・斬撃!!気を付けて!!」

佐恵子が付与を全員に飛ばした直後に、来たわ!!の声が真理と美佳帆で見事に重なった。

真理が言い終わった数秒後、ずばっ!という音がやけにはっきりと響き、横に切り割れた扉と白い何かが勢いよく部屋に飛び込んできた。

「はぁぁああ!!」

気合の発声と同時に気配を消すことを止め、能力を100%発動し、視力強化もした加奈子は斬撃で切り飛ばされた上下二つに割れた扉を左手でいなし、踏み込む脚で踏み落としながら、刀を振るう白いスーツ姿の男にカウンターで渾身の崩拳を突き出す。

加奈子の崩拳を人間がまともにくらえば確実に命はない。
しかし、加奈子は容赦のない一撃を迷いなく放った。なぜなら、一瞬だけの動きしか見ていないが、斬り込んできた曲者は相当な手練れであり、只者ではないことがはっきりと肌を通して伝わってきたからである。

ビシーーーーン!!

加奈子の直感が間違いなかったことを証明する音が鳴り、耐刃性能をもったグローブで包まれた拳が硬質な衝撃に阻まれる。ほとんど完璧なタイミングで放った崩拳ではあったが、白スーツの男は振り抜いた白刃を、柄を器用に持ち替え、高速で刃を翻し、膝で剣先の腹と左手を添えて刀身を支え、加奈子の拳を刀の腹の中心で受け止めたのだった。

ただ、手練れの曲者は、さすがに拳の勢いは止めきれず白い塊となって部屋から吹き飛ばされるように共用廊下に吹き飛び、壁に激突する。

「いってええ!!・・・ちくしょう!・・・僕のせっかくの華麗な登場シーンをぶち壊しやがって!」

思いもよらない攻撃に辛うじて防御が間に合ったものの、井川栄一は加奈子の崩拳に吹き飛ばされ背中を壁で強打してしまい、白スーツの汚れを手で払いながら、油断なく立ち上がると刀を握りなおした。

「んん??・・おや?これは懐かしいねえ!あの時より髪が伸びてるけど・・・・加奈子じゃないか。また会えて嬉しいよ・・・。僕のこと忘れちゃいないだろ?・・・忘れるわけないよねえ・・・ふふふ、僕に負けたらまた・・」

「げぇ!!・・あんたは・・やっぱり生きてたのね!・・・この変態!変な横分け頭!・・・ダッサい癖に恰好つけてるじゃないわよ!ブ男!!・・今の今まであんたのことなんか忘れてたってのに!!・くっそー!・・最っ低!!」

刃と拳を交えた二人は1歩の距離で互いに構え、対照的な表情で向かい合あった。意外な場所での再開に一人は嬉々として、もう一人は心底嫌そうに言葉を吐き出した。

【第8章 三つ巴 28話 思わぬ再会 終わり】29話へ続く

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コメント
No title
やっぱり格闘シーンに入るとドキドキ感が更に高まりますね。
緊迫の中にも佐恵子の女の子らしさなども垣間見えてて可愛いですね。
奈津紀に栄一。。。
またまた面倒な輩が出てきましたね。
頑張れー宮コー&菊一連合!
特に加奈子ちゃーん
2018/08/29(水) 01:37 | URL | カリスマ店員 #-[ 編集]
カリスマ店員様
いつも、一夜をお読みいただきありがとうございます。
カリスマ店員様は、加奈子の応援をして下さっているのですね。
重要な立ち位置の登場人物ですので、加奈子は今後も長く活躍をしてくれる予定なので、カリスマ店員様の、ご希望に添える展開になるかはわかりかねますが、当分は登場しますので今後ともよろしくお願い致します。

2018/08/29(水) 23:52 | URL | 千景 #-[ 編集]
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筆者紹介

千景

Author:千景
訪問ありがとうございます。
ここでは私千景が書いた小説を紹介させて頂きたいと思います。
ほぼ私と同年代の既婚者が主役のものになるかと思います。登場人物同士が
つながりを持っていて別の物語では最初の物語の主人公が脇役を務める様な
小説全体につながりを持たせ想像を膨らませていけたらと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します

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